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2024衆院選・宮城4区 最終盤、4氏追い込み 支持拡大へ奔走 あす投開票

伊藤信太郎氏:前環境相(党国際局長、外務副大臣)東京都、ハーバード大院
大林 正英氏:元銀行員(釜石市議(2)、復興支援員)東京都、慶応大
佐藤 雄一氏:元衆院議員秘書(石巻市議(3))石巻市、日大通信教育部
安住  淳氏:前党国対委員長(民進党代表代行、財務相)石巻市、早大

 衆院選は27日、投票が行われ、即日開票される。宮城4区には、8選を目指す自民党前議員の伊藤信太郎氏(71)、ともに新人のれいわ新選組の大林正英氏(60)、日本維新の会の佐藤雄一氏(45)、10選に挑む立憲民主党前議員の安住淳氏(62)が立候補している。各陣営は票固めや支持拡大に選挙区を駆け巡り、最終盤の戦いが激しさを増している。

 伊藤氏は「与党の力で必要な予算を付けて政策を進める」と自公政権の継続を訴える。前半は大票田の石巻市をはじめ選挙区をくまなく回り、中盤以降は各地で個人演説会を開催。駆けつけた党幹部と共に支援を訴え、支持者に「厳しい状況。皆さんに押し上げてほしい」と呼びかける。

 大林氏は前半戦を「地盤のある候補に対しハンディがあり、暗中模索だった」とする一方、後半は「選挙カーへの反応や応援の声が増えた」と手応えを語る。最終盤は石巻、多賀城両市などの人口密集地に焦点を当て「これまで投票してこなかった人たちに訴えたい」と票の掘り起こしを図る。

 佐藤氏は地盤の石巻市を中心に、選挙区をまんべんなく回ってきた。若者への投資を政策の中心に据え、若年層が多いとみられる塩釜、多賀城両市や利府町などでの訴えに注力。最終盤の重点地にも据える。「住宅地も細かく回り、若者世代に少しでも会えるようにしたい」と力を込める。

 安住氏は自民党派閥の裏金問題と石破茂首相の衆院解散判断を批判し、政権交代可能な二大政党制の実現を訴えてきた。「長年の派閥と世襲の政治を終わらせる。古里石巻の議席を守る」と主張する。26日は塩釜市など旧4区地域や東松島市を回った後、石巻市で最後の演説を行う。

【遊説日程(25日)】

〔伊藤陣営〕
▽選挙カー=石巻市、塩釜市
▽街頭演説会=石巻市山下町の石巻事務所(午後4時半)、塩釜市のJR本塩釜駅アクアゲート口(午後7時)

〔大林陣営〕
▽選挙カー=石巻市、女川町、東松島市、道の駅おおさと、塩釜市、イオンモール富谷、イオンモール新利府、多賀城市

〔佐藤陣営〕
▽選挙カー=石巻市、女川町、富谷市、利府町、塩釜市、多賀城市、松島町、東松島市

〔安住陣営〕
▽選挙カー=塩釜市、七ケ浜町、多賀城市、利府町、富谷市、大和町、大衡村、大郷町、松島町、東松島市、石巻市
▽個人演説会=ユニクロ石巻蛇田店駐車場(午後7時45分)

教育面の議論低調 給食費補助、石巻地方3市町で差

給食を味わう児童たち。子育て支援関係者は、全自治体一律の無償化を要望している=7月、東松島市の赤井小

 公立小中学校などの給食費補助を巡り、石巻地方3市町の対応が分かれている。東松島市が半額補助、女川町が第2子以降の全額無償化、石巻市が1食当たり40~50円前後の補助で、自治体間で格差が生じている。27日投開票の衆院選宮城4区では、各候補者の訴えの多くが人口減少や物価高対策に割かれ、教育の在り方を巡る議論は低調だ。子育て支援関係者は「給食費の一律無償化に向けた議論をしてほしい」と求める。

 東松島市と女川町は4月に給食費補助の取り組みを始めた。ともに保護者の経済負担軽減が目的という。東松島市は航空自衛隊松島基地の立地に伴う防衛関連の交付金を財源に充てる。

 石巻市は食材価格の高騰を受けた保護者の負担軽減策として、給食費の一部を補助している。負担額は2023年度決算ベースで1食(277~401円)当たり37~51円。新型コロナウイルス対策の交付金が財源のため、今後継続するかどうかは不透明という。

 文部科学省のまとめによると23年9月時点で、給食を無償提供する自治体は30.5%に上った。ただ、自治体の財政状況によって地域格差が出るなどの課題も浮き彫りになっている。

 石巻地方の各教委によると無償化にかかる費用は、年間で石巻市約5億7000万円、東松島市約2億円。女川町約1660万円という。このうち石巻市教委は「将来にわたり安定した財源を確保できる見通しが立たない」(学校管理課)ため、実施は難しいとの考えだ。

 同市教委学校管理課の土田順平課長は「基地や原発立地の特定財源がある自治体とそれ以外で子育ての格差が生じている。住民から見れば不公平感がある」と指摘。「本来は国の責任で一律無償化を進める必要がある」といい、国への要望を続けていると説明した。

 衆院選は終盤の論戦を繰り広げている。教育無償化を掲げる政党がある一方、宮城4区の候補者が街頭演説などで具体的な見通しに言及する場面は多くない。

 子育て支援や地域食堂の運営に取り組むNPO法人やっぺす(石巻市)共同代表理事の柏原としこさん(53)は「どこに住んでいても給食無償化の恩恵を平等に受けられるようにすべきだ」と訴える。その上で「衆院選やその後の国会では、全ての子どもの命が守れるような環境づくりを議論してほしい」と述べた。

私の一票

■石巻高3年・宮川尚大さん(18)=東松島市矢本
 比較的子どもの多い地域に住んでいるが、通学路を歩くと人口減少や高齢化を肌で感じる。具体的な対策を立て、実行できる候補者を選びたい。 
 大学受験を控えている中で、周囲には家計の事情で進学を断念せざるを得ない友人がいる。これから進路を諦める人が出なくてもいいよう、大学の授業料無償化を進めてほしい。

■自動車販売修理業・阿部貞夫さん(78)=石巻市湊町3丁目
 食料品などの物価高が続く中、中小企業の給料はなかなか上向いてこない。そんな中で自民党の裏金問題が発覚し、強い憤りを抱いた。政治家にしっかり仕事をしてもらいたいと思い、期日前投票で1票を投じた。自宅の周辺は東日本大震災後、空き地が目立ち、子どもの数もかなり減った。そんな状況を何とか変えてほしいとも願う。

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