パンと漬物がおいしい融合 山形の大学生が新商品考案 赤カブ漬けとクリームチーズのサンドも
山形県の漬物のうまさを広めようと、東北芸術工科大(山形市)の企画構想学科4年安達美玖さん(22)が飲食店と共同で青菜漬けなどを具材にしたパンを開発し、5日から期間限定で販売する。安達さんは「若者においしさを知ってほしい」と期待する。
挑戦的な新商品を「お漬物サンド」と命名。山形県庄内町の老舗漬物メーカー「マルハチ」から商品の提供を受け、県内の3店の協力を得て商品開発した。
山形市のパン店「モアリッチ」では5~16日、「青菜漬けとスモークチーズのエピ」(280円)など3種、同市のカフェ「つち」で5~17日、スライスした赤カブ漬けとクリームチーズを挟んだホットサンド(680円)を販売する。
酒田市の「フライドランド」では16、17日、南蛮みそを混ぜたタルタルソースと赤カブ漬けを挟んだフィッシュサンド(700円)を提供する。
安達さんは「違和感なくマッチしておいしい。ご飯を炊く習慣があまりない若者が漬物を食べるきっかけになれば」と話す。
山形市出身。幼少時から祖母の作る青菜漬けが大好物で、現在は自宅で梅干しなどを作る「漬物女子」。道の駅で逸品を探すのも趣味だったが、6月の食品衛生法改正による衛生基準の厳格化で手作り漬物が姿を消し、危機感を覚えた。友人らで食べる人も少ない。
「高齢化による製造者の減少などもあり、業界に先行きの見えない暗い雰囲気を感じた」と言い、広報やネットによる発信などを学ぶ学科の卒業制作として取り組むことにした。7月、学内の食堂で試作品を販売し、2週間で800食近く売れて手応えを得た。
インスタグラムにアカウント「otsukemono_sand」も開設し、創作パンのレシピや漬物の商品情報などを掲載する。「山形漬物宣伝大使」を自認し、「今後も山形が誇る伝統食の新たな魅力を発信し続けたい」と意気込む。
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