「紙の健康保険証使えない?」 マイナ移行、問い合わせ相次ぐ 石巻地方3市町
現行の健康保険証の新規発行が12月2日に停止される。石巻地方の2市1町には「今の保険証が使えなくなるのか」などの問い合わせが相次いでいる。政府はマイナンバーカードに保険証機能を持たせたマイナ保険証への移行を進めるが、紛失時のプライバシー流出への不安などから二の足を踏む住民も少なくない。
東松島市市民生活課マイナンバー窓口に寄せられる電話での問い合わせは11月に入り、1日5件未満から5~10件に増えた。石巻市への問い合わせは毎日数件。12月2日で使用できなくなると思っている人もいるという。女川町には「マイナ保険証は必ず作らなければならないのか」などの相談や質問が1日1、2件ある。
石巻市保険年金課は、市の国民健康保険証は社会保険に移行したり、他市町村へ転出したりしなければ、2025年7月末の期限まで使えると案内している。また、マイナカードへのひも付けは市役所本庁舎、市内6総合支所、4支所の機械端末でも可能で、職員が手続きを手伝っている。
市役所を訪れた同市恵み野5丁目の会社員男性(67)は説明を受けながら、市民課の専用パソコンでひも付けを行った。「数分で終わった。これで今後便利になる」と喜んだ。
同課の担当者は「今のところ大きな混乱はない。制度や期限まで現行の保険証が使えることを説明し、丁寧に対応したい」と話す。
ただ、多くの住民はひも付けに二の足を踏む。
同市水明北3丁目の無職女性(83)は「今まで紙の保険証と診察券で病院の受け付けをしてきた。できなくなるのは不便」と語る。全国でのマイナカードと保険証のひも付けミスの多発もあり、マイナカードは持っているが、ひも付けはしていない。制度の分かりにくさもあり「私たちの年代が新しい制度に追い付くのは大変」と言う。
情報流出への懸念も付きまとう。デジタル庁の23年のアンケートによると、利用申し込みをしない理由で「情報流出が怖い」は各年代で約10%を占めた。
マイナカードと保険証をひも付けしていない同市和渕の30代公務員女性は「マイナカードは基本、自宅で保管し、持ち運んでいない。情報がたくさん入っているので、紛失してしまったときが不安」と明かす。
消極的ながら、今後マイナ保険証を受け入れようとする人も。東松島市矢本の70代無職男性は「マイナカードを使ったことがないし、使い方も分からない。なくしてしまった場合の不安はあるが、使う必要があれば、使うしかない」と語った。
現行保険証が使えなくなるまでには猶予期間が設けられ、有効期限内なら来年12月1日まで使える。国保や後期高齢者医療制度は自治体によって期限が異なる。マイナ保険証のない人には保険証の代わりとなる「資格確認書」が届く。
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