(1067)冬の月まだ温かい母に死が/鎌倉道彦(1947年~)
身内の死を経験した者には、死後の冷たさが鮮明に記憶として残るものだ。「まだ温かい」は、まさに母の命が途切れる直前のぬくもりを示し、間もなく訪れる死を予感させる。そして「母に死が」は、逃れられない現実…
関連リンク
- ・(1066)眠る山起こさぬように竹箒(たけぼうき)/大木雪香(1973年~)
- ・(1065)トーストに塗って食べたいような空だ/出雲にっき(2001年~)
- ・(1064)枯色は時に金色湖岸道/原朝子(1962年~)
- ・(1063)切株はじいんじいんと ひびくなり/富澤赤黄男(1902~1962年)
- ・(1062)手袋の指が選びて花束に/矢野玲奈(1975年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。