東松島のツバキ、お茶に 道の駅で限定販売 就労支援施設が加工
東松島市の就労継続支援B型事業所が地元産ヤブツバキの葉を加工した「ツバキ茶」が同市の道の駅「東松島」で限定発売されている。東日本大震災の被災者や社会的弱者の雇用創造に取り組む岩手県の企業の協力で商品化した。
「誇り」が花言葉のツバキを通じて、逆境に負けない三陸の力強さを発信する。(西舘国絵)
この事業所は同市の社会福祉法人ことぶき会(伊藤寿志理事長)が運営する「ひがまつステーション」。今春、ツバキの葉を加工する仕事を始めた。葉は岩手県大船渡市の「バンザイ・ファクトリー」で焙煎(ばいせん)され、三陸沿岸の他産地の葉と混ぜて「椿(つばき)茶」として販売されている。
同社は地元素材を生かした商品開発を進める中で、三陸沿岸に自生するツバキの多くが津波の塩害に耐え、枯れずにいることを知った。ツバキは成長が遅い分、地中深くに根を張って丈夫に育つと分かった。
高橋和良社長は「何でも『早く早く』が求められる世の中で、自分の時間でじっくり育って強くなる姿に感動した」と語る。2015年、ツバキの葉を主原料にした茶を発売。すっきりとした甘みが特長の茶は、土産物コンテストに入賞するなど知名度を上げた。
葉の加工は表面を覆うろう成分や汚れを拭き取って色の悪い葉を選別するなど、細かな処理が求められる。一方で複雑な工程が少なく、引きこもりになった被災者や高齢者の仕事になるとして就労支援施設が加工に手を上げた。現在は岩手と宮城の沿岸13カ所の施設が参加する。
ひがまつステーションもその一つ。「面白そう」と利用者が関心を示したことから加工を始めたが、納期やノルマがなく、集まって和気あいあいと作業できることから事業所の雰囲気が良くなったという。利用者の男性(33)は「自分のペースで作業ができていい」と話す。
東松島市はツバキが多く自生し、加工の適地でもある。11月末開業の道の駅へ出品するため、同市産の葉だけを使った茶の商品化が決まった。
事業所は週1キロの加工を目標に日々作業に励む。目指すのはノリや航空自衛隊松島基地の曲技飛行チーム「ブルーインパルス」に並ぶ市の象徴。利用者の星原泰喜さん(27)は「東松島から全国に広がり、人気が定着してほしい」と語る。
東松島市産のツバキ茶はティーバッグ6個入りで810円。
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