サンマ水揚げ倍増 不漁は変わらず、通常時の半数以下 女川港、シーズン終了へ
全国有数のサンマの水揚げを誇る女川町の女川港で、今シーズンの漁がまもなく終了する。初水揚げが昨季より1カ月早く、6年ぶりに8月中に記録。数量は昨年より倍増し、魚体の大きさも回復傾向が表れた。ただ、通常時に比べると半数にも満たない。関係者は「近年だけで見ればいい数字だが、不漁であることは変わらないので楽観視できない」と状況を注意深く見守る。(大谷佳祐)
女川魚市場での初水揚げは8月23日。長崎県の第5太喜丸(199トン)を皮切りに、今月3日までにサンマ船の入港が続いた。数量の合計は3765トン(3日現在)金額は19億円で、昨年の1838トン(8億7770万円)を上回っている。
同市場によると、サイズも昨年は80~90グラムと小型が目立ったが、今季は100~110グラムが主体だったという。昨年よりも水揚げがあったことで、10月に開かれた「秋の収獲祭(実行委員会主催)」では炭火焼きが1万匹、すり身汁も約4000杯が来場者に提供され、祭りが盛り上がった。
昨年よりも水揚げ量が増えた要因について、全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま、東京)は11月6日、8~10月の全国のサンマ水揚げ量を発表した際に、日本に近い海域に漁場が形成されたことを挙げている。
女川でのサンマの水揚げ量は近年、2018年まで1万トン前後で推移したが、19年以降激減。21年には過去最低の1236トンを記録した。昨季まで3年連続で1000トン台と、記録的な不漁が続く。
魚市場によると水揚げは例年今月10日過ぎまであるが、今季は多くの船が操業を終えているため、現状の数字からの上積みはないのではないかと見ている。
女川魚市場の丹野秀之専務は「昨年よりサンマの顔を多く見られるのはいいことだが、資源が少なくなっているという話も聞くので安心できない。来年もまた数量が増えることを願いたい」と話した。
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