惨禍の記憶、花火で後世に 3月11日、石巻・渡波で打ち上げ 実行委、寄付募る
東日本大震災の発生から14年となる3月11日夜、震災や能登半島地震の犠牲者を追悼する花火が石巻市渡波地区で打ち上げられる。住民有志らでつくる実行委員会が「3.11を悲しいだけの日にしたくない」と企画し、今年で5回目を迎えた。物価上昇による資材費の高騰から、打ち上げ費用が大きく膨らんだため寄付を募っている。
実行委は住民有志のボランティア団体「チームわたほい」メンバーらで構成。計約100発を打ち上げ、10号玉4発のうち1発で「能登の犠牲者を追悼する」という。同市の渡波漁港長浜防波堤付近で、午後7時から約15分間の予定。
委員長を務めるわたほいの代表遠藤伸一さん(56)は、震災で渡波地区の自宅にいた3人の子どもを亡くした。「10年以上たっても、気持ちがあの日に戻ってしまうことがある。同じように歯を食いしばり、悲しみを乗り越えてきた被災者の癒やしになればうれしい」と願う。
打ち上げは震災発生から10年の2021年にスタート。今では震災の記憶を次世代に伝える役割も認識している。遠藤さんは「災害から命を守ってほしいという思いを込める。花火を続けることで後世の子どもに震災のことを伝えていきたい」と話した。
ただ、継続には課題もある。急激な物価上昇のあおりを受け、花火の資材費は昨年の約70万円から約20万円も値上がりした。実行委は銀行振り込みで寄付を受け付けるほか、クラウドファンディング(CF)を行っている。
CFは3000~15万円で受け付け、遠藤さんが手がける木工品、地場産ワカメや地元写真家の作品を使ったポスターなどの返礼品付きコースを用意する。余剰金は能登半島地震の被災地支援に当たる団体に寄付する。
寄付金の振込先はゆうちょ銀行。記号18120、番号28924121。他行からは八一八店、口座番号2892412。名義は「チームわたほい」。連絡先は実行委311hanabi.watanoha@gmail.com
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