第4部・都市のリスク(2)下る水(下)開発の陰で排水後手に

浸水したJR仙台駅西口の地下歩道。水害への都市のもろさを象徴する=2019年10月13日午前1時5分ごろ(仙台市交通局提供)

 台風19号が東北を通過した昨年10月13日未明。仙台市地下鉄仙台駅は前例のない事態に陥った。

 JR仙台駅西口周辺の下水道から道路にあふれた雨水が、地上出入り口の階段を流れ落ちて終電後の地下鉄駅構内に侵入。東西自由通路が水没し、改札前広場や地下3階の南北線レールが約10センチ冠水した。止水板はなく、土のうでは防ぎ切れなかった。

 レールが雨水に漬かったのは開業以来初めて。ポイントが1カ所でも冠水すると列車位置を知らせるセンサーが誤作動し、運行システムが機能しない。夜通しで復旧作業を続け、始発からの運転にこぎ着けた。

 構内の地下水をくみ上げる排水ポンプは、流入した雨水の排水を想定していない。市交通局は地上出入り口への止水板設置を検討するが、斎藤善高施設課長は「駅での対策は対症療法的。元を断たないと再び起きる」と、下水設備を含めた雨水処理の強化を切望する。

 地表がコンクリートやアスファルトに覆われた都市は、地中に吸収される雨水の割合が極端に低い。下水道の排水能力を超える雨量が続くと、道路上に氾濫して低地や地下が浸水する。都市型水害の典型だ。

 終戦直後に30万弱だった仙台市の人口は1999年に100万を突破。郊外の宅地化にとどまらず、中心部に高層のビルやマンションが密集するなど都市化が進んだ。頻発する仙台駅周辺の冠水は必然と言える。

 仙台の下水道は1899年、東京、大阪に続いて整備が始まり、一部は現存している。その一つ1900~03年建設の「れんが下水道」は、市在住の作家伊坂幸太郎さんの小説が原作となった映画「ゴールデンスランバー」のロケ地にもなった。設備の印象は強いものの、機能が十分とは言い難い。

 仙台駅周辺では約70年前の下水管が今も一部で使われている。2~4年に1度の大雨に耐える能力にとどまり、近年の集中豪雨に対応できない。「急速な都市化に、膨大な費用と時間がかかる浸水対策が追い付けなかった」。水谷哲也市下水道計画課長が説明する。

 市域全体の雨量想定は大規模な内水氾濫が生じた86年の「8.5豪雨」後、10年に1度の大雨(1時間雨量52ミリ)に見直された。計約1万7700ヘクタールの計画面積に対し整備率は約35%と低い。水谷課長は「(整備の遅れは)浸水が広範囲に発生したことの言い訳にならない」と唇をかむ。

 市は新年度、以前から計画していた駅西口の冠水解消事業を本格化させる。75億円をかけて全長約4.6キロの幹線を地下に通し、雨水を広瀬川に直接流す。2025年度の完成を目指す。

 海抜30メートル超の台地上に広がる仙台都心部は、土地の高低差で自然排水がしやすい。市は下水道マスタープラン(16~25年度)に「事業運営のトップランナーを目指す」とうたう。恵まれた地形も生かし、理念を実現できるかどうかが試される。

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