<決壊>第4部・都市のリスク[4]「三度目」への備え/発展 追い付かぬ対策

福岡市博多区の地下貯水池。地元住民を含め、国内外から年約1000人が視察に訪れる
ゲリラ豪雨で冠水したJR郡山駅西口のアーケード街=2010年7月6日(郡山市提供)

 「地下に雨水を一時ためる管を通すための機械です」。2月下旬、福島県郡山市などによる市中心部の治水計画を巡る説明会。市の担当者が示した直径3メートルの特注掘削ドリルの写真を、約40人の住民らが食い入るように見詰めた。

 かつて市史で「水害が少ない、もしくは全くない」とうたった郡山市。だが、近年は相次ぐ内水氾濫への対応を迫られている。

 2010年7月に1時間雨量最大74ミリというゲリラ豪雨でJR郡山駅西口周辺が数十センチ冠水、11年9月の台風豪雨で駅東口が広範囲に浸水した。危機感を強めた市は14年、9カ年の下水道整備計画を策定。国のゲリラ豪雨対策交付金事業に東北で初めて登録された。

 豪雨対策の一つが貯留管だ。30億円超をかけ、全長約1.3キロの管を駅西口の地下10メートルに敷設する。最大約9200立方メートルの雨水をためて冠水被害を減らす。来年3月の完成を見込む。

 中心市街地を短期間で複数回襲った豪雨。度重なる水害を受け、大掛かりな防御策に乗り出した自治体が九州にある。

 福岡市博多区の山王公園の地下にコンクリート壁の巨大な空間が広がる。幅35メートル、奥行き78メートル。最大約1万5000立方メートルの水をためられる貯水池だ。06年から運用されている。約60本の柱に支えられた施設は、神殿のような雰囲気すら醸し出す。

 市都心部は1999年と2003年、低地にあるJR博多駅地下街などが水没した。都市型水害の走りとされ、国が対策に本腰を入れる契機ともなった。

 99年時は逃げ遅れた市民1人が死亡した。市下水道事業調整課の藤井良和課長は「駅周辺があれほど水没したことはなく、犠牲者が出たのもショックだった」と話す。

 市の動きは速かった。対策事業への着手は2000年度。博多と巨大な地下街がある天神(中央区)の両地区について、想定する1時間雨量を79.5ミリに設定した。99年の豪雨に合わせて通常の59.1ミリを超える数値とした。

 多重の防御策も施した。貯水池がいっぱいになれば公園内の野球場に1万3000立方メートルの水を流す。区内には直径5メートルの雨水貯留管を敷設した。

 藤井課長は「博多は福岡の玄関口。『三度浸水させない』と誓い、市一丸で対策を進めた」と説明する。09年にあった1時間116ミリの豪雨でも浸水を防ぎ、博多はその後も水に漬かっていない。

 博多と天神の事業費の合計は約510億円。都市規模に開きがあるとはいえ、郡山では現行の整備計画が完了しても、10年豪雨時の床上浸水を床下に抑える程度の効果にとどまる。

 郡山市内では昨年10月の台風19号で河川氾濫が頻発した。中心部で大規模な内水氾濫があれば被害は一気に広がりかねないが、「舗装された場所が増えて雨水の流出量が多くなった。これほどの都市化は想定しなかった」。市下水道整備課の担当者は過去の計画の見込み違いを認めるしかなかった。

河北新報のメルマガ登録はこちら
決壊 台風19号・治水のゆくえ

企画特集

先頭に戻る