[家田仁(いえだ・ひとし)氏]東大工学部土木工学科卒。国鉄(現JR)職員や東大大学院教授などを経て、2016年から政策研究大学院大学専任教授。6月に土木学会会長に就任予定。東大名誉教授。専門は交通・都市・国土学。64歳。東京都出身。
土木学会は昨年10月の台風19号豪雨後、被災地で現地調査した。われわれ専門家の目から見ると想定の範囲内の場所で河川の氾濫があり、想像を絶する場所での被害は少なかった。専門家は被害が予想できた場所を十分強化してきたのか、他の場所よりリスクが高いことを国民に伝えてきたのかを自問する必要がある。
各地の河川整備は100年や200年に1回の洪水に備えるために堤防のかさ上げなどを進めているが、目の前の現象にさえ満足な対応ができていないのが現実だ。住民は避難はできても、住居が損壊するなど財産を失っている。
現地調査結果などを踏まえ、土木学会は今年1月に「流域治水」への転換を訴える提言を公表した。洪水の危険性が高い土地の利用規制にも踏み込み、水害に強い地域や都市に変えていくのが主な狙いだ。
2000年に制定された土砂災害防止法や東日本大震災後に施行された津波防災地域づくり法により、危険な場所で土地利用規制が行われているが、日本で最も頻発するリスクとも言える河川水害に対しては実施してこなかった。
18年に西日本豪雨があり、翌年の台風19号が東日本台風と名付けられたのは、豪雨被害が全国共通となったことの象徴だ。国民的な危機意識が風化する前に、都市機能や住宅の誘導に向けた議論を進めるべきだ。
提言は滋賀県の流域治水条例(14年施行)との共通点が多いが、滋賀の流域治水はダム整備見直しの流れの中で提唱された。提言で掲げた流域治水はダムを含むあらゆる選択肢を総動員した、より積極性の高い治水を目指している。
降雨の程度に応じた氾濫の危険度合いを示す「多段階リスク明示型浸水想定図」の作成と活用も提言に盛り込んだ。自治体などが作成するハザードマップは想定される最大浸水深を示すものが多く、どれくらいの降雨でどこがどの程度氾濫するのかが不明確なため、めりはりのある対策を講じられない。「使えるハザードマップ」にしたい。
公助だけでなく自助や共助もシステムとして機能させるには、保険制度など市場原理を生かした自己回復型の災害対応も進めなければならない。水害リスクの高低が明確になり、建物の立地や構造により保険料が変わるのが当たり前になれば、居住の在り方も変わるはずだ。
河川管理や都市計画に関する行政の縦割りによる弊害も課題だ。平時は互いに干渉せず分野ごとの専門性を高める方が能率的だが、今は巨大災害が頻発する時代。それぞれの持ち場を一生懸命やるだけで済まないのは、新型コロナウイルスの感染拡大を巡る国の対応を見ても明らかだ。現場より高いレベルで責任を持って治水を指揮する仕組み作りが要る。
豪雨被害が激甚化し、大胆な取り組みが求められている。行政に任せきりにせず、中小河川の管理を民間ビジネスとして取り組む視点などがあってもいいだろう。
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