「復興再考」第6部 まちづくり(1) 陸前高田 かさ上げ(下)/「小さい商圏」活用苦戦

11月中旬にあったツバキの植樹会。かさ上げ地に比べ、低地部は利活用が進みつつある=陸前高田市

 岩手県陸前高田市高田地区の津波被災地にできた畑で11月中旬、ツバキの植樹会があった。殺風景な区画整理地に常緑樹が植えられ、市民は紅色の市の花が咲く時季を心待ちにする。
 植樹エリアは大規模にかさ上げされた新市街地東端の低地部にある。地域を活性化しようと、地元の住民団体が2.6ヘクタールを市から借りた。
 かさ上げ地とは対照的に、周辺の低地部は利活用が進む。大手外食チェーン「ワタミ」が23ヘクタール規模の農業観光施設を整備しているほか、北米原産の木の実ピーカンナッツの特産化を目指す計画もある。
 NPO職員佐々木正也さん(45)は2016年、高台に新居を構えた。津波への不安が拭えず、現地再建を見送った。
 かさ上げ地にある先祖代々の土地は、市の土地利活用促進バンクに登録した。「コンビニを建てれば商売になりそうな場所だが、1区画では狭いのかもしれない」。固定資産税分を賄えればと願うが、反応はまだない。

 巨額の公費を投じて整備した市街地だけに、市は空き地を埋めようと躍起だ。
 「土地はあります。新たな挑戦の場として利用しませんか」。市都市計画課長補佐の永山悟さん(35)は、こんなうたい文句で企業担当者に売り込む。
 自動車販売店や全国展開の飲食チェーンを回ったが、「商圏が小さい」「隣の大船渡や気仙沼に既に店がある」などと返事はつれない。
 津波シミュレーションによると、かさ上げした市街地は震災クラスの津波でも浸水しない。安全性を伝えても、企業の関心は価格や市の支援策に向けられる。
 市は設備投資への補助金や最大5年の固定資産税相当額の商品券支給といったメニューを用意。国や県の担当者がオブザーバー参加する促進会議を定期的に開き具体策を練るが、バンクに登録された419件中、成約実績は22件にとどまる。

 かさ上げした市街地は、中心部を除き震災前の居住地に近い場所と換地した。売りたい人、貸したい人、住みたい人が混在し、まとまった土地を求める事業者ニーズに沿えないことが、利活用の足を引っ張っている。
 永山さんは「事後の土地利用までを想定して区画整理をしていなかった。再整理できればいいのだが、財源が厳しい」と苦悩する。
 市は換地作業の終了を待ち、自動車整備工場などを誘致できるよう用途変更を検討する考えだ。

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