岩手県の最大被災地で、行政と住民の間に温度差が生じていた。
2011年5月1日、市庁舎が全壊した陸前高田市に復興対策局が発足し、復興計画作りが本格化した。「高台には、中心となる商業地を造れる土地はなかった」。元復興対策局長の蒲生琢磨さん(63)が、発展を支えた低地部の再生を市が重視した理由を語る。
県に要望していた高さ15メートル(震災前5.5メートル)の防潮堤は、多重防御で減災できるとして12.5メートルに下げられた。市は、当時鉄路の復旧を見込んでいたJR大船渡線の山側をさらに大規模にかさ上げし、コンパクトにした市街地を移す構想に見直した。
震災級の津波でも市街地全体が浸水しない-。被災地でもまれな、安全を重視した計画だったが、住民の不安は払拭(ふっしょく)できなかった。
「どうして津波シミュレーションで大丈夫と言えるのか。逃げなくていい所に住宅を建てたい」。11年11月の説明会で声を上げた住民に大きな拍手が送られた。
予想以上に高台希望が多く、市は移転候補地を増やした。盛り土造成が可能な土地区画整理事業で高台も一体的に整備し、換地先を選べるようにした。
区画整理は時間がかかる事業だ。宅地の引き渡しが4~7年後と分かり、自力再建の動きが加速した。
市外への人口流出も懸念材料だった。市は、自力再建者に宅地造成や水道、道路工事の費用を補助するなど独自に支援したが、区画整理事業の参加者が減るジレンマを抱えた。
11年度から今年9月末の新設住宅着工戸数(持ち家、分譲)は、区画整理による宅地引き渡しが本格化する前の15年度が最多で、同年度末までで全体の6割に上った。市街地が壊滅的な被害を受けた岩手県山田、大槌両町の4割より高い。
「相当数が高台に移り、かさ上げ地にすぐ使われない土地が出るのは一定程度想定された」。岩手県から派遣され、市の担当課長を4年務めた山田壮史さん(55)が振り返る。
市は山林を開発する高台の住宅需要を精査する一方で、かさ上げ地は一部を除き、宅地の利用動向の把握を後回しにした。
山田さんは「土地を交換する事業のため、当面使わないから造成しないという選択肢はない。一刻も早い宅地整備が最優先課題だった」と強調する。
換地先がほぼ固まった16年秋、市は地権者に土地利用の意向を調査した。全体の6割の土地が未定で、実需に対して過大なことが初めて数字で裏付けられた。
11年に国の復興調査事業メンバーとして、民間コンサルの立場で関わった法政大の高見公雄教授(都市計画)は、人口減少を見据え、国の基準に応じた市街地の必要規模を示したが、議論されなかったことを残念がる。
「わずかでも地元負担があれば、計画は違っていたはずだ。当時の世論は『元通りに』『早くやれ』の一色。復興事業の象徴となった陸前高田の規模縮小なんて、誰も怖くて言えなかった」
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