大地に深く根を張り、塩害に強いヤブツバキ。東日本大震災で住民が津波から逃げた道に植えられ、あの日の記憶を今に伝える。
宮城県南三陸町の一般社団法人「復興みなさん会」
は2013年から避難路にツバキを植える活動に取り組んでいる。会のメンバーとして草の根の活動を支えてきたのが、同町の上山八幡宮の禰宜(ねぎ)を務める工藤真弓さん(47)だ。
海辺の町並みは津波で失われたが、自生するツバキは枯れずに残り、春に真っ赤な花を咲かせた。「大津波に負けなかったツバキを古里に植えたい」。登米市の仮設住宅で暮らしていた女性のひと言が活動のきっかけになった。
町民やボランティアの協力で植樹し、志津川地区4カ所に「ツバキの避難路」を整備した。工藤さんは「再び津波が押し寄せたとき、避難の目印になる。道路は造れないけど、逃げるという意識の道はつくれる」と語る。
ツバキ避難路の一つ、上の山緑地公園から志津川小につながる林道は、地元住民が津波から逃げる命の道になった。地震発生から約40分後、巨大な土ぼこりを上げながら、津波が海抜16メートルの高台にある公園に迫った。町の防災訓練の避難先だったが、その場にいた300人以上が約500メートルの林道を駆け上がった。
工藤さんもその一人。夫や当時4歳だった息子らと上山八幡宮の裏山をかき分け、林道に抜けた。「子どもの頃、林道は友達と探検や隠れ家作りをする遊び場だった。記憶に刻まれていた道だから逃げることができた」と振り返る。
会の活動に共感した兵庫県の中学校の生徒たちが2014年、この林道に苗木32本を植樹した。今では大人の背丈を超える高さまで伸び、冬は緑に彩られた避難路が浮かび上がる。
ツバキは秋になると実がはじけ、種がこぼれる。登米市に仮設があった頃は女性たちに呼び掛け、種拾いのツアーを実施した。女性や高齢者の声をまちづくりに生かすため、つばき茶を飲みながらのお茶会やワークショップも開いた。
「震災前、まちづくりは誰かがしてくれるものだと思っていた。この先10年、20年と時間がかかるとしたら、私たちが担う側だと気付いた」。活動を通じて多くの人とつながり、背中を押してもらったことで考えが変わった。
10月、町の震災復興祈念公園が全面開園した。住民や支援者と「みらいの森」にツバキ43本を植えた。うち3本は、住民が登米市の仮設で暮らしていた頃から手塩にかけて育てた苗木だ。
「町の事業と違って私たちの活動に期限はない。震災から得た学びや気付きを伝えることも大切な役目だと思う」
南三陸から、未来の命のために活動の種をまく。(佐々木智也)
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