新市街地の真ん中にある公園の週末はにぎやかだ。ブランコに乗って遊ぶ子どもたち。愛犬と一緒に親子が芝生を駆け回る。
「伸び伸びとした環境で子育てできる。住むにつれて良さを実感する」
11月下旬、宮城県山元町つばめの杜で鍼灸(しんきゅう)接骨院を営む伊藤剛さん(36)一家の姿があった。2017年7月、妻広江さん(36)、長女光ちゃん(6)、次女穂(みのり)ちゃん(4)と郡山市から移った。
つばめの杜は、東日本大震災の被災者の住まいを内陸3カ所に集約するコンパクトシティー構想で生まれた。宅地の申し込みが伸び悩んだため、被災者に限定していた条件を撤廃し、町は一戸建て宅地の4分の1に当たる52区画を一般向けに分譲した。
その一つ、100坪の区画を購入したのが伊藤さんだ。山元町花釜地区で20歳まで暮らし、福島県内で、はり師の道を進んだ。独立を考え、仙台市や北隣の亘理町で物件を探していた時、故郷にできた街の空き区画を知った。
JR常磐線山下駅が街に直結し、スーパーや学校も近い。つばめの杜の宅地価格は1平方メートル当たり1万4000~1万8000円台。募集当時の仙台市の宅地平均価格(公示地価)は約8万円で、マイホームに手が届く安さも決め手となった。
夫婦は「近所には同世代の家族が多い。買い物も便利で、年を取っても暮らせそう」と満足する。
つばめの杜が磁場となり、新たな住民を引き寄せる。伊藤さんがUターンした17年、町は震災後初めて転入が転出を上回る53人の社会増となった。19年は県内の自治体で5位の80人増。子育て世代を中心に宮城県南や福島県から移ってくる。4000以上減った人口は、この6年間、約1万2000で踏みとどまる。
町独自の手厚い移住定住支援策も大きな呼び水だ。「子育てするなら山元町」を前面に掲げ、新規転入の新婚・子育て世帯に最大370万円(4人家族)を補助する。町職員が沿線自治体の不動産屋を回り、チラシを配ってPR。震災後、231世帯636人の転入に結び付いた。
15歳未満が1割弱にとどまることから、ファミリー層に狙いを定め、町に新たな活力を呼び込む。
社会増で好転の兆しが見えてきたが、集約先3カ所の宅地は既に埋まった。移住者を吸収しようと、つばめの杜周辺の農地にアパートなどが建ち始めた。
「ミニ開発は道路や水道のインフラが非効率になる。震災前と同じように市街地のスプロール化(虫食い状)を招きかねない」
当時、札幌市職員として町の復興計画策定を支援した工学院大の星卓志教授(都市計画)は無秩序な広がりを懸念する。町は既存の農道を改良するなどして良好な土地利用を誘導する方針だ。
集約された新市街地から家々の光が広がる。町の新しい顔は、取り残された沿岸部や集落が点在する山間部との間を有機的に結ぶ役割も担う。
「新市街地の利便性を既存市街地も享受し、ともに成長して一体となることを目指す」。斎藤俊夫町長(71)はこう地域の将来像を描く。
人口減少時代のコンパクトシティーを軸にしたまちづくりは始まったばかりだ。
第6部は田柳暁、坂井直人、庄子晃市、吉田尚史が担当しました。
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