核のごみに揺れる町で、元宰相の「劇場」が復活した。
「どこにも処分場の当てがない。(原発を)再稼働すればごみが増える。だから再稼働すべきじゃない」
11月3日、北海道寿都(すっつ)町で講演した小泉純一郎元首相が歯切れ良く訴えた。町で行われる核のごみ・高レベル放射性廃棄物の最終処分を巡る文献調査に反対する住民団体が主催した。
小泉氏はフィンランドの最終処分場視察時の逸話も紹介。「地下400メートルの壁が所々、水分で染みのように黒い。日本だったら(染みでは済まず)温泉が出る」と聴衆をあおった。
首相時代に原発政策を推進した小泉氏は東京電力福島第1原発事故後、反原発に転じた。自民党が政権に復帰した後の2013年夏ごろから「最終処分場もない原発推進は無責任だ」と、かつて「小泉劇場」と呼ばれた派手な言動を各地で展開。世間の耳目を引いた。
政府は13年12月、最終処分の関係閣僚会議を初めて開いた。菅義偉官房長官(現首相)が「国が前面に立ち、取り組みを進める」と宣言した。
当時は一部の原発で原子力規制委員会による新規制基準適合性審査が進んでいた。最終処分問題が再稼働を妨げることを政府は恐れた。核のごみという難題への政府一丸を演出し「劇場」の幕引きを図った。
「小泉発言が注目され、自民党内で『何とかしなければ』との声が広がった」。原子力政策に関する国の有識者会議に加わる委員の一人が舞台裏を明かす。
最終処分政策を担う経済産業省。処分場の選定手続きを定めた最終処分法が00年に施行されて以来、第1段階の文献調査すら実施できず焦っていた。小泉発言で処分場のない現実が広く知れ渡ったことを逆手に取った。
「国が科学的有望地を示し、自治体に調査を申し入れる」「処分場閉鎖まで廃棄物を搬出可能にし、最良の処分方法を選べるようにする」。15年に閣議決定された最終処分の改定基本方針には、自治体による「手挙げ」以外の方法などを追加。首長や自治体の負担と懸念を減らし、調査に入りやすくすることを狙った。
17年には日本全土で処分適地を色分けした「科学的特性マップ」を公表した。マップは全国の面積の約3割、約900自治体を最適地とした。処分事業主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)と連携し、マップを基に全国120以上の都市で説明会を開いた。
そして今年。寿都町が文献調査に応募し、近隣の神恵内(かもえない)村が調査申し入れを受諾した。経産省は「全国で対話活動を積み重ねた結果」と自負するが、複数の自治体がほぼ同時に調査に入る展開を見越していたかのような動きも見せていた。
昨年11月、最終処分の在り方を検討する国の作業部会。経産省は委員に示した20年からの取り組み方針に「複数地域の文献調査実施を全面的に支援」と盛り込んだ。2町村が調査に意欲を表明する数カ月前のことだ。
予兆があったのか。経産省資源エネルギー庁の担当者は「複数の自治体が応募しそうだとかを考慮したわけではない」と偶然を強調する。
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