<まちかどエッセー・氏家靖浩>高倉健と志村けん

うじいえ・やすひろさん 1966年大崎市生まれ。古川高、宮城教育大卒業。現在、仙台大体育学部健康福祉学科教授。博士(医学/香川大)。公認心理師、精神保健福祉士、学校心理士。千葉ロッテマリーンズファン。仙台市青葉区在住。

 俳優・高倉健さんが好きで年末はDVDで映画「駅STATION」を見ます。健さんが小料理屋のおかみ・倍賞千恵子さんと2人で、大みそかの紅白歌合戦、八代亜紀さんの「舟唄」に聴き入るシーンが印象的です。このシーンを私が最初に見たのは高校生の頃ですが、いつかこんな渋い大みそかを過ごしてみたいと毎年正月に決意を固めつつ果たせないまま、もう50代です。正月の決意は、かなわぬものなのでしょう。
 さて正月といえば、今年の正月にこんな一年になることを想像した方はおられたでしょうか。いませんよね。
 こんな社会情勢になり、目に見えない何かにおびえて暮らす毎日になってしまいました。さらに新しい生活様式を求められ、大変気を使います。油断すれば危険が迫ってくるかもしれません。だからこの新しい生活様式を無視した方を見掛ければ腹立たしく思えます。とにかく疲れる世の中になってしまいました。
 しかし、です。私たちはこれまでにも生活スタイルを変える経験を味わっています。冷静に考えれば私たちの生活は長期的には大きな変化の繰り返しです。新しい生活様式を、早く私たちの生活様式にしたいものです。
 宮城でも、生活に変化を求められたことがありましたね。30年以上前の冬、車には金属のびょうが打ち込まれたスパイクタイヤというものを装着し、道路の凍結で滑らないようにしていました。確かにそれでスリップ事故は減っていたかもしれませんが、削られた道路の粉じんで人間が悪影響を受けていました。
 そんな中、宮城県や仙台市はスパイクタイヤをやめようと決断しました。ですから、冬道はより安全運転が求められましたし、泣く泣くスパイクタイヤを廃棄した方もおられたと思います。でも、この決断でみんなの健康が保たれました。「んだ」と思い出す方もおられるでしょう。
 今年は、そんな健康と社会のあり方の変革が求められた年だったと思うことにしましょう。もちろん、まだ油断はできません。窮屈にならずに自然体で健康に気を付けましょう。そんな私たちを遠いところから「だいじょうぶだぁ」と言って「バカ殿様(変なおじさん?)」も見守ってくれているでしょう。どうぞ良いお年をお迎えください。(仙台大教授)

河北新報のメルマガ登録はこちら
まちかどエッセー

 仙台・宮城在住の執筆者が、それぞれの活動や暮らしで感じたことをつづります。

第68回春季東北地区高校野球
宮城大会 組み合わせ表

先頭に戻る