調査遅れ「経路不明」増える 感染者急増、保健所業務追い付かず 仙台

新規感染者を発表する市保健所の担当者

 仙台市内で「感染経路不明」と公表される新型コロナウイルス患者が増えている。市が今月発表した新規感染者のうち、21日時点で経路不明が過半数を占める。実際に経路を特定できないケースもあるが、感染者急増で保健所業務が繁忙を極め、患者の行動歴調査が追い付いていないことが大きい。(報道部・伊藤卓哉)

 市によると、今月1~21日に公表した新規感染者は計569人。このうち公表時点の経路不明は297人(52・2%)に達した。6日は39人の新規感染者が発表され、7割を超える28人の経路が不明とされた。

 市保健所は7日、「経路不明の割合が高くなっており、市中感染も否定できない」とする専門家の市感染制御地域支援チームの厳しい分析を明らかにした。

 ただ、実態は少し違う。新規感染者から行動歴などを聞き取り、新たな感染者を捕捉する「積極的疫学調査」が遅れていて、公表時点で経路不明とせざるを得ない患者も少なくない。

 積極的疫学調査は各区保健所支所の保健師や薬剤師など市全体を約25人で担当する。区内で感染者が急増した場合は、担当外の職員が応援に回る態勢を敷き、現状は常時25人程度がサポートに当たる状況が続く。

 市は昨年12月末に看護師派遣会社と契約し、青葉区に3人、宮城野、泉両区に1人ずつを配置した。市幹部は「健康状態のチェックは知識がある人でないと任せられない。人手は依然足りない」と悲鳴を上げる。

 行動歴調査は「患者の記憶が曖昧なことが多く、時間がかかる」(市保健所)ため、全国的に効率化が図られつつある。厚生労働省は昨年11月、調査対象期間を「発症前の14日間」から「発症前の7日間」にすると各自治体に通知した。

 市は通知を踏まえ、12月中旬から7日間に短縮。とりわけ「感染可能期間」と言われる発症2日前からの調査を最優先し、濃厚接触者の特定を急ぐ。それでも感染者の増加スピードには到底、追い付いていない。

 神奈川県は感染者急増に伴い、積極的疫学調査の範囲を大幅に縮小した。仙台市も同様の対応を迫られかねないが、市保健所の下川寛子所長は「感染源の特定は感染拡大の防止につながる。疫学調査の縮小は考えていない」と断言する。

 郡和子市長は19日の定例記者会見で「保健所職員の使命感でやってもらっている。折に触れて増員を図ってきたが、何しろ資格を持つ人材が限られる」と吐露し、解決策を打ち出せないいら立ちをにじませた。

[感染経路不明]新型コロナウイルス患者の感染源を特定できない状態。仙台市は陽性が判明した患者の濃厚接触者、患者と同一施設に滞在歴がある検査対象者以外は「感染経路不明」としている。新規感染者として公表した時点で経路不明でも、その後の行動歴調査で感染源が特定されるケースもある。

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