デスク日誌(1/31):いけない時間

 もう、言っちゃいけない時間なのは十分に分かっている。でも口をついて出てしまう。「この見出し、おかしくない?」

 不思議なことに、切羽詰まった時間になると疑問が湧く。紙面を構成し、見出しを考え、印刷工程に回す整理部の締め切り、降版時間の10分前。普通は1分たりとも超えられない。

 とっくに仕上げの時間。やりたい点検だらけ。そこに割って入り、紙面を作る担当者に疑問を突き付けるのだから非情なもの。だがおかしいなら、直さなければならない。

 「うーん」。2人で頭を抱える。秒針が進む。脂汗がにじむ。数分後、少し怒気を含んだ声で「これで、いいですか」「それ、それだ」。担当は、上の立場の当方をずっと上回る代案をひねりだし、降版。

 ドタバタで片付けもできず、2人だけになった深夜の職場。「すごい。土壇場で、よく出るもんだね」「いやぁ、最後にならないと出ないんですよ」。へへっと頭をかく。

 そんなことがあると、なぜか妙に高揚し、うれしく、2人でばか話まで。しばらく職場から離れられないのである。
(整理部次長 八代洋伸)

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