<まちかどエッセー・氏家靖浩>模擬患者と教育

うじいえ・やすひろさん 1966年大崎市生まれ。古川高、宮城教育大卒業。現在、仙台大体育学部健康福祉学科教授。博士(医学/香川大)。公認心理師、精神保健福祉士、学校心理士。千葉ロッテマリーンズファン。仙台市青葉区在住。

 体調不良を我慢してようやく病院に行ったら「どうして放っておいた!」と怒鳴られ、その言葉の方がつらかったという話を聞きました。患者さんとお医者さんのコミュニケーションは難しいものです。そこで今、お医者さんをはじめとした医療スタッフの教育の場では、コミュニケーションの難しさを乗り越えるために模擬患者が活躍しています。
 模擬患者とは、医学生が医師役になって診察の手順を学習する際、本物の患者さんの代わりに医学生にお稽古を付ける普通の市民のことです。模擬患者が病気に伴う苦悩を演じ、医学生はどう関わったら良いコミュニケーションになるのかを学んでもらいます。模擬患者は病気の設定の台本を覚え、医学部の教育日程に合わせたり、模擬患者自身がインフルエンザにかかって本物の患者にならないように頑張っておられたりするのですが、あまり知られていません。
 「模擬患者とつくる医療面接」(ナカニシヤ出版)という本では、模擬患者を演じた人々は人間関係を振り返る良い機会になり、やって良かったとおっしゃっています。
 さて、これからの時代はお医者さんや学校の先生にも、直してほしいことや気になったことは、患者さんや子供・保護者の側から、きちんと伝えた方が良いようです。耐えていて後から感情的に文句を言うよりは、日頃から穏やかに要望を言うことが大切です。もちろん、良いところは褒めてくださいね。
 教育は子供時代に完結するものではありません。お医者さんや学校の先生になるための専門教育も、より良いものになるように試行錯誤しています。変化があるのは大変ですが良い時代だと思います。学校は卒業しても人を教えて育てることに卒業はないことを実感できるからです。いつまでも全ての人が主人公です。お互いが育ち合うコミュニケーションをいくつになっても続けていきたいものです。
 運動の理論も変化しています。メタボの私が取り組むダイエットは、まだ効果が現れず残念ですが。思えば私が子供の頃のトレーニングは、水を飲むなと言われ「巨人の星」を歌いながら、うさぎ跳びをしていたような気がします。教育も運動も、変化を楽しんでいきましょう。
(仙台大教授)

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まちかどエッセー

 仙台・宮城在住の執筆者が、それぞれの活動や暮らしで感じたことをつづります。

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