東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県で、飲酒などアルコール関連の相談件数が急増し、宮城、福島では高止まりしている。成人1人当たりの酒消費量も震災後に急増し、岩手、宮城では震災前の水準に戻らずにいる。3県では震災を契機にアルコール依存症などへの関心が高まっており、専門家は飲酒問題に継続的に取り組む必要性を訴えている。
(生活文化部・安達孝太郎)
厚生労働省の地域保健・健康増進事業報告によると、3県の市町村と保健所によるアルコール関連の相談(電話など含む)と訪問指導の合計件数の推移はグラフの通り。
宮城の2018年度は4464件で、震災前の09年度の約2・7倍、福島は1661件で約1・8倍となっている。岩手は15年度の1587件をピークに減少傾向にあるが、震災前より多い状況が続く。
各県の支援者らによると、件数が増えた背景には阪神大震災の教訓がある。飲酒に絡み、被災者が孤独死して問題化したのを踏まえ、今回は仮設住宅や災害公営住宅の住民らの健康調査などで、飲酒問題を積極的に調べたという。
最近相談を寄せる人は主に中高年男性で、同じ人を継続的に支援するケースも増えている。
宮城県が依存症治療拠点に選定している東北会病院(仙台市青葉区)の石川達理事長は「震災以降に飲酒が課題に上り、以前は見逃されがちな人も、保健師らが問題視して支援対象としている」と指摘する。
一方で、同病院の依存症の新患は震災後数年は増加傾向を示したが、現在は落ち着いている。「依存症の患者は病気だと認めない傾向が強い。医療にうまくつなげていけるよう、支援者の技術をより高めていく必要がある」と語る。
福島県では、東京電力福島第1原発事故の影響が指摘される。ふくしま心のケアセンターから委託を受けて活動する「相馬広域こころのケアセンターなごみ」(南相馬市)の米倉一磨センター長は「長期の避難、故郷に帰るかどうかなどの選択といったストレスが大きいのだろう」と話す。
国税庁によると、18年度の3県の成人1人当たりの酒類消費量は、岩手が87・7リットル、宮城が81・2リットル、福島は78・4リットルだった。いずれも13年度をピークに減少しているが、岩手、宮城ともに震災前よりも高い水準のままだ。
大災害後は被災地で酒消費量が増えるケースが多いとされるが、依存症が増加するかどうかは科学的な結論が得られていない。
石川理事長は「今回の震災では、もともと飲み方に問題のある人が悪化したケースのほか、家族を亡くすなどのトラウマ(心的外傷)で酒量が一気に増えた人が多い」と説明。「飲酒量が増えれば、依存症などのリスクは高まる」と警戒する。
岩手県こころのケアセンターの大塚耕太郎副センター長は、地方では依存症など精神疾患への偏見が根強いとした上で「問題のある人の支援とともに、早い段階で周囲が問題に気付くための啓発活動が大切だ」と指摘。「アルコール問題は息の長い取り組みが求められる」と強調した。
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