夏にも策定される政府の新たなエネルギー基本計画では、2050年の脱炭素社会に向けた電源構成が最大の焦点だ。二酸化炭素(CO2)を排出しない原子力と再生可能エネルギーはどう位置付けられるべきなのか。エネルギー政策に詳しい識者に聞いた。
(「原発漂流」取材班)
菅義偉首相は昨年10月、2050年までに国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言した。欧州連合(EU)や英国、カナダなどが2019年までに表明し、中国も昨年9月に「60年まで」を打ち出したことを踏まえれば遅いと言える。安倍政権も「50年に80%削減」を目標に掲げたが、中身が伴わなかった。目標達成に向けた菅政権の取り組みを国民は監視する必要がある。
原子力が目標実現に資するかどうかは、費用と便益の面から他の選択肢と十分に比較すべきだ。政府が15年に公表した電源別の発電コスト比較では、公表時点と30年のモデルでいずれも原子力が最も優位とされた。現在は太陽光パネルや風力タービンなどの価格低下から、多くの国で再生可能エネルギーが最も安価な発電技術になっている。知る限り「原子力が一番安い」と今も政府が言い続けている国は日本だけだ。
高コストで高リスクの原発をわざわざ使わなくても温暖化対策は可能だ。30年に原発がゼロでも、省エネと再エネ利用を進めれば二酸化炭素(CO2)排出は大きく減らせる。
菅首相の宣言を受けて政府が昨年暮れに策定した「グリーン成長戦略」の最大の問題は、火力や原子力を基軸とした現在の大量生産・大量消費のエネルギー構造を維持するために、見通しの立っていない新技術に頼っている点だ。原子力では新たな小型モジュール炉(SMR)、火力ではCO2の貯留回収・利用などがそれに当たる。技術開発やコスト低下が順調に進むかどうか分からない上、それらの技術でCO2の削減効果がどれほどあるのかも不透明だ。
SMRは古くからある技術で、とにかく高い。原発は効率向上とコスト低下のために、ひたすら大型化を図ってきた。小型化すれば再び割高になる。安全面でのリスクはゼロでないし、放射性廃棄物も依然として発生する。ほかにより良い選択肢がある中、普及するとは思えない。
エネルギー構造の転換には雇用対策が必要になり、どの国も悩みの種だ。例えば中国には石炭関係の労働者だけでも数百万人いる。米国やオーストラリア、カナダ、ロシア、ドイツなども化石燃料の採掘などに従事する労働者が多い。カーボンニュートラルは、そうした人々が職を失うことを意味する。
各国で課題となっている補償や雇用転換プログラムなどの在り方は今後、日本でも検討が必要になるが、他国より少ない化石燃料関連の雇用者数を考えれば相対的に恵まれていると言える。再エネや省エネで生まれる新たな雇用は、雇用転換が必要とされる雇用よりも規模が大きくて持続的。裾野も広い。日本全体の産業発展や企業の競争力向上のために好ましい。
温室効果ガスによる気候変動と新型コロナウイルス禍は「自分が原因になり得る」と実感しづらい点で共通する。自分がウイルスに感染すれば他者にも感染させかねないことと同様に、自分が排出するCO2が他国の人々や未来世代に悪影響を与えるという意識を一人一人が持つことが求められる。
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