791ページの判決書は、東京電力福島第1原発事故の教訓に何度も言及した。
「原発事故の被害は広範囲で避難も容易ではない。生活基盤が失われ、災害関連死をも招く」
日本原子力発電東海第2原発(茨城県)の運転差し止めを命じた18日の水戸地裁判決。裁判官らが決め手としたのは事故対策の誤りや不足ではなく、事故時の避難計画の不備だった。
同原発は東日本大震災の津波で被災した後、2018年9月に原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格。30キロ圏(緊急防護措置区域=UPZ)の居住者は約94万人に上る。
避難計画は事前に遠方の滞在先を確保し、道路の寸断や渋滞を見越した誘導ルートを練り、自力で避難できない高齢者や入院患者らへの対処も考える必要がある。福島事故では避難に伴う負担によって多くの命が失われた。
自然災害の確実な予測はできず、原発に絶対の安全はあり得ない。福島の惨事を経てなお稼働を続けるのならば、原子炉の事故対策と同じ厳重さを避難計画にも課すべきだ-。こう考えた地裁は、防災体制の欠陥に「住民の命と健康を脅かす具体的危険」を認めた。
避難計画の不備を理由に原発を止める初の司法判断に、住民側弁護団は色めき立った。「全国の原発裁判に水平展開できる歴史的判決だ」。記者会見で弁護団共同代表の河合弘之(76)=第二東京弁護士会=は声を上ずらせた。
地域の防災体制を整える法律上の責任は政府と自治体にある。判決が突いたのは、電力会社にはどうしようもない「死角」であると同時に、従来の原発裁判では判決を左右するとは言い難い論点だった。
東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に同意しないよう住民が県と市に求めた2019年11月の仮処分申請は、全国で初めて避難計画の適否を主要争点に据えた。昨年10月に裁判所の却下決定が確定したが、河合は「理屈の正しさが証明された。もう一度挑戦してほしい」と訴訟でのリベンジを望む。
原発の危険に社会はどう向き合うべきか。裁判で争われた事故対策や避難計画のはるか手前の問題もある。
「安全に対するおごりや過信がないか改めて反省したい」。水戸地裁の判決があった18日の夜、東電社長小早川智明(57)は記者会見で、柏崎刈羽原発(新潟県)での不祥事について謝罪と釈明を繰り返した。
原発敷地内への不正侵入を検知する機器の不備が発覚し、規制委は核物質防護の安全重要度と深刻度の両方で最悪レベルと評価。24日、原子炉への燃料装荷禁止など事実上の運転禁止命令を出す方針を決めた。
新潟地裁では同原発の運転差し止め請求訴訟の審理が続く。住民側は9年前の提訴時から、福島事故を起こした東電に原発運転の資格があるかどうかを問い続けてきた。
「福島や新潟は常に東電経営の犠牲になってきた。裁判を一つの『てこ』に社会の意識を動かしたい」。住民側弁護団長の和田光弘(66)=新潟県弁護士会=は、今も途上にある原発裁判の役割をかみしめる。
(敬称略)
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