社説(2/13):森会長の後任迷走/透明な人選で体制立て直せ

 女性蔑視発言で辞任を表明した東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の後任選びが迷走している。

 森会長は自らの後任に日本サッカー協会元会長で選手村村長の川淵三郎氏(84)に就任を要請し、受諾した川淵氏で固まったかに見えた。

 しかし、政府が川淵氏の就任に難色を示し、川淵氏が一転、受諾しない考えを示し、白紙に戻った。

 疑問の声は上がっていた。森氏は蔑視発言で国内外の強い批判を招いた張本人だ。後継者を内々に指名するのは、おかしいのではないか。

 川淵氏は要請を受諾するに当たり、森氏に相談役として残ってもらうと明言した。後任指名と併せ、森氏の影響力は色濃く残る。

 「院政」のにおいをかぎ取った人々が反発したのは当然だ。

 ただでさえ新型コロナウイルスの感染拡大で東京大会の開催に懐疑的な見方が広がっている。そこへトップの失態と密室人事が重なれば、大会への機運は手の施しようもないほど低下してしまう。

 開催に向け突き進むにせよ、断腸の思いで中止を決断するにせよ、トップの正当性が疑われていては組織が揺らぎ、冷静な議論や判断はできまい。

 一刻も早く開かれた場で透明性のある手法で会長を選び、体制を立て直すべきだ。それが国民を納得させる最低条件だろう。

 森氏の辞任を求める世論が高まった際、組織委や政府は「発言は不適切だが、余人をもって代え難い」とかばい続けた。

 問題発覚当初に辞任を考えた森氏を組織委幹部が強く説得して翻意させたとも伝えられる。組織委が後任を検討した形跡はない。

 森氏が国内外のスポーツ界や政界に人脈があり、大会準備に政治力、調整力を発揮してきたのは事実だ。

 だが高齢な上、病気を抱えている。職務を継続できなくなる可能性は小さくなかった。組織委が万が一の事態に備えていなかったことは批判されるべきだろう。

 後任を取り沙汰された川淵氏はサッカーの元五輪代表で、日本サッカーのプロ化に強いリーダーシップを発揮し、現在のJリーグの隆盛をもたらした。

 日本サッカー協会会長退任後は、最高峰のリーグが分裂し国際連盟から国際試合出場停止処分を受けた日本バスケットボール協会の改革にも辣腕(らつわん)を振るい、Bリーグの基礎をつくった。スポーツ界の大立者だ。

 ただ、川淵氏も高齢だ。いつまでも川淵氏頼みでいいのか。他に人材はいないのか。

 日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長らスポーツ界関係者は、人材不足を大いに反省しなくてはならない。

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