社説(2/20):首相長男の接待/「更迭」は当然 徹底解明を

 総務省の幹部4人が放送事業会社「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男から接待を受けていた問題は、大きな節目を迎えた。

 武田良太総務相はきのう、秋本芳徳・情報流通行政局長ら2人を官房付に異動させる人事を発表した。事実上の更迭とみられる。このほかの2人を含む4人の懲戒処分も検討しているという。

 接待問題を巡っては、衛星放送の話題が会食で出たかについて、秋本氏はこれまでの国会答弁で「記憶にない」と答えていた。

 しかし、週刊誌が会食中の音声データを報じたのを受け、19日の衆院予算委員会では「今となっては発言があったのだろう」などと一転して認めた。

 国会で虚偽の発言をしていた疑いが強まった。更迭は当然だろう。総務省の調査もずさんだったということになり、野党は「組織ぐるみの隠蔽(いんぺい)」と反発している。

 今回の人事が、追及を避けて世間の目をそらすためだとしたら、根っこにある疑惑隠しと言われても仕方がない。

 首相や周辺への配慮や忖度(そんたく)で、通信行政の公正さが失われなかったのかどうか、徹底調査を求めたい。

 首相は「長男は別人格」と説明するが、政治不信につながる疑念について、真偽をただすなどの指導力を発揮すべきではないか。

 衆院予算委では今月、接待問題を集中して取り上げた。総務省幹部が長男側と会食した回数は、2016~20年に延べ12回に上る。

 昨年12月に集中した会食では、いずれもタクシー券と贈答品を受け取っていた。

 国家公務員倫理規程は、利害関係者から接待を受けたり、金品を受けたりする行為を禁止している。長男は利害関係者に当たる可能性が高い。

 20年前に施行された国家公務員倫理法と倫理規程は、中央省庁の相次ぐ不祥事を受けて定められた。

 いつしか法令のチェックの目は甘くなり、空文化していたのかもしれないが、頻繁に手土産まで受け取るとは驚く。官僚の変わり身の早さなのだろうか。

 菅首相は、かつて総務相を務め、現在も省内に強い影響力を保っている。

 当時、長男を大臣秘書官に起用しており、総務官僚としてみれば今は民間人でも無視できない相手だろう。

 その背後に、首相に上り詰めた菅氏の存在を見ているのは想像が付く。会食の際に放送事業の話題になったとすれば、ただの会食では済まされまい。

 権力者とその周辺との関係で思い出すのは、安倍晋三前政権の時に起きた森友・加計学園問題だ。

 似通った構造が、やましい政策選択に結び付かなかったのか、国会で明らかにする必要がある。

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