社説(2/21):ワクチン接種開始/先行き早く示し不安解消を

 待ちわびた遠方からの到着を歓迎しつつ、一抹の不安を覚える。

 多くの国民は、そう受け止めているのではないか。国内でも新型コロナワクチンの接種が始まった。

 期待できる効果は二つある。医療従事者の先行実施に続いて4月以降、65歳以上の高齢者3600万人に接種される予定だ。

 ワクチンが治験通りに効けば、医療逼迫(ひっぱく)の一因である高齢者の重症化と入院を減らすとともに、死者の増加を食い止められる。

 一時パンク状態となった保健所の業務負担を和らげることにもなる。

 もう一つは「集団免疫」の獲得である。一定数の人が免疫を持てば、感染ルートの拡大を防ぐとされる。

 ワクチンがきちんと調達され、全国に配給されることが前提となる。いつの時期に、どれだけの量が届くのか、先の入荷見通しはどうなっているのか。

 政府はあいまいな見込みを示すだけで、会場確保など実務を担う市町村や担い手のスタッフを集める医師会は困惑している。

 供給ラインについて情報収集を急ぎ、見通しの公表と自治体への説明を速やかに行うべきだ。

 先行接種は米ファイザー社製で、医療従事者4万人に打たれる。主に海外での治験を参考にしたワクチンが日本人にどう反応するか、国内調査を兼ねる。

 海外で深刻な副反応の事例は報告されていないが、ファイザー製は2回打つ必要があり、長期的な効果には不明な点も多い。

 国内調査によって明らかになった副反応の特徴や発生確率、有効な対策を公表し、その後の高齢者、基礎疾患のある人、一般の接種へと生かしてほしい。

 全国の自治体は準備を進めている。都市部では、東京都練馬区のように診療所での個別接種を軸にするパターンと、大きな会場での集団接種と個別を組み合わせるところがある。

 3月下旬以降の接種券(クーポン券)の発送と予約、2回目の準備をスムーズに進める上でも、政府と自治体との連携は緊密にしなければならない。

 政府は、ワクチン1本で6回接種できると見積もっていたが、現状の注射器では5回分しか打てないと分かった。

 計画見直しにつながる事態である。注射器のチェックは基本動作だろう。緊張感を欠いていたのではないか。先が思いやられる。

 ワクチンとて万能ではない。海外からの供給見通しが狂い、変異ウイルスに戸惑うケースも予想される。

 マスクや手洗いといった対策はまだ続くことになる。過度な期待はせず、気持ちを緩めることなく粛々と進めていきたい。

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