社説(2/19):組織委新会長に橋本氏/山積する課題、丁寧に対応を

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長に、五輪相だった橋本聖子氏(56)の就任が決まった。

 森喜朗前会長の「女性蔑視」発言から半月。発言や後継人事で混乱し、組織としてだけでなく、大会への信頼も失った。

 大会まで半年を切り、新型コロナウイルスへの不安も大きい中、橋本氏には信頼回復を進めながら、大会開催への道筋を示し、理解を広げていくという課題がのしかかる。国民の声に耳を傾け、謙虚さと決断力を持って、難局に立ち向かってほしい。

 森氏の「女性蔑視」発言があったのは3日。辞意を固めた森氏は、日本サッカー協会元会長で組織委評議員の川淵三郎氏に後任を要請したが、「密室人事」と批判され、白紙となった。

 組織委は森氏が辞任した12日、理事ら8人による候補者検討委員会の設置を決定。求められる資質として(1)五輪・パラ、スポーツへの造詣(2)ジェンダー平等など五輪憲章、東京大会の理念実現(3)国際経験(4)東京大会の経緯などの理解(5)運営能力と調整力-を挙げ、橋本氏に一本化した。

 選手として夏冬合わせて7回の五輪に出場し、参議院議員5期目。五輪だけでなく、男女共同参画や女性活躍の担当大臣でもある。条件とされた資質に疑問はない。

 とはいえ、開催まで約150日。課題は山積している。

 コロナ禍での開催に、世論調査では国民の約8割が中止や再延期を求めており、騒動が失望を深めた。失った期待、信頼を取り戻し、機運を高めるのは容易ではない。

 3月25日には五輪の聖火リレーが福島県をスタートするが、昨年中に実施自治体向けに示される予定だった感染防止対策のガイドラインは、確定していない。島根県は、政府や東京都の感染防止策を不満として、リレー中止の検討を発表した。準備が円滑に進んでいるとは言えない。

 観客数の上限、国外からの観客受け入れなどの判断も、今春がめどとなる。政府、東京都、国際オリンピック委員会(IOC)、開催自治体などとの調整は欠かせない。

 森氏の発言を受け、「ジェンダー平等」に向けた取り組みにも関心が集まる。

 森氏は「大会の原点は被災地の復興」と強調してきた。東日本大震災の被災県をサッカー、野球・ソフトボール会場とし、聖火到着地、リレーのスタート地にも選んだ。

 橋本新会長も五輪相として「復興五輪は東京大会の重要な柱」と話しており、引き続き積極的な対応を期待したい。

 短期間で多くの課題に決断を迫られるが、「根回し」にたけた森氏と同じ手法というわけにはいかない。過程や決定に透明性を持ち、国内外からの不安や疑問について、丁寧に説明責任を果たしながら、理解を広げていくことが求められる。

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