河北春秋(2/19):歌人の若山牧水は新聞や雑誌の短歌欄で選者…

 歌人の若山牧水は新聞や雑誌の短歌欄で選者を務めた。上から順番に、秀逸な歌、次いで佳作、そして無難な歌、さらには「そうですか歌」があるという。著書の『短歌作法』に書いている▼選者が読んでも返答に困ってしまって「ハア、そうですか、とでも言わねばならぬ」ような作品。無造作に作っただろう無感動の短歌を牧水はそう名付けた。そんな「そうですか歌」をきのうは連想した▼東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長に五輪相の橋本聖子さんが就くという。すったもんだの末に、火中の栗を拾うような難しいかじ取りを迫られる橋本さん。誠にお気の毒だと同情する一方で、どうも「はあ、そうですか」との思いも▼夏冬合わせて7回の五輪出場経験を誇る橋本さんは素晴らしいアスリートではある。気になるのは、政界入りのお膳立てをしたのが女性蔑視発言で辞意を表明した森喜朗会長らしいこと。2人はまるで父娘のような親しい関係だといわれる▼歌人の辰巳泰子さんに痛々しい親子関係を思わせる一句がある。<明るいところへ出れば傷ばかり安売りのグラスと父といふ男と>。橋本さんには冷ややかな視線で「父」の失態を見つめる賢明な対応もまた必要だろう。この混乱を終息させ、五輪を成功に導くためには。(2021・2・19)

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