河北春秋(2/22):<恥の多い生涯を送って来ました>。太宰治…

 <恥の多い生涯を送って来ました>。太宰治は『人間失格』で主人公にそう告白させている。だが、自身の高校時代の成績は恥多いどころか立派すぎるほどだった。旧制青森中(現青森高)時代の成績表が見つかり、18歳で卒業するまで4年間の9枚が公開された▼3年時の一つを見ると、大半の科目で90点台を獲得。国語漢文の「文法」と数学の「代数」は満点だった。運動に縁遠いイメージとは裏腹に「体操」も90点。「修身」は93点で、遅刻と欠席は1回もない。破滅的なその後の人生を予感させるものはうかがえない▼青森中を卒業して旧制弘前高(現弘前大)に進んだ太宰は1回目の自殺を図り、左翼活動に迷い込んでいく。その当時、ノートに描いた落書きをモチーフにしたTシャツなどのグッズがこのほど売り出された▼手掛けたのは青森県中泊町の有志団体「社中」。同町は太宰の子守だった越野タケが結婚後に移り住んだ町。2人が再会する場面が『津軽』で美しく描かれる。社中のメンバーは「グッズを通じて観光客を呼び込めれば」と願う▼男性の横顔など、採用された落書きはいずれも独特の雰囲気を醸し出す。落書きさえも人を引きつけてしまう太宰の魅力。ちなみに青森中時代の「図画」は90点。こちらもまた、優秀だった。(2021・2・22) 

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