五輪組織委会長に橋本氏 「官邸主導の色合い強く」スポーツジャーナリスト・生島淳氏

生島淳氏(いくしま・じゅん)気仙沼市出身。宮城・気仙沼高-早大出。国内外のスポーツに精通する。著書に「大国アメリカはスポーツで動く」「箱根駅伝」など。兄はフリーアナウンサーの生島ヒロシ氏。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長に18日、五輪相だった橋本聖子氏(56)が就任した。森喜朗前会長の舌禍を発端にしたドタバタ劇は、開催に向けた国民の不安を増大させた。新会長はこれを拭い去ることができるのか。スポーツジャーナリストの生島淳氏(53)と、2008年北京五輪ソフトボール日本代表監督の斎藤春香氏(50)=日本オリンピック委員会(JOC)元理事=に聞いた。(聞き手はスポーツ部・剣持雄治)

 官邸主導の印象が強い人選だ。開幕まで5カ月に迫り、国際オリンピック委員会(IOC)、組織委、政府が連携していくしかない状況で、3者が密接な関係を築ける人を選んだと言える。五輪という国家プロジェクトでもあり、橋本さんは外堀を埋められていた。

 1980年のモスクワ五輪ボイコットを機に、スポーツ界は政治と距離を保とうとした。ただ、ここ20年再接近している。安倍政権ではスポーツ選手に対する国民栄誉賞の乱発があった。五輪も国の力が必要。政治とスポーツが互いに利用し合う構図が続く。

 過去の五輪で2004年のアテネ、16年のリオデジャネイロは準備が遅いと報道された。世界から今、日本は同じように見られている。

 今夏の五輪は何らかの形で開催するだろう。IOCと組織委はその着地点を探っている。本来は東日本大震災からの「復興五輪」だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で変節してしまった。日本社会の中で「五輪の価値とは何か」を発信する重責も担う。

 橋本さんは、フィギュアスケートの高橋大輔選手に対するハラスメント疑惑があった。就任に当たり、自分なりに振り返って襟を正す必要がある。世界の目はシビアだ。この件について新聞各紙は触れていたが、テレビは遠慮があったのか、過去に触れることはなく腰抜けだった。

 国内には今夏の開催に懐疑的な意見が多くあり、機運醸成も道半ばだ。森氏の発言に対して、影響力を発揮した世論を見逃すことはできない。会長職は決してお飾りではない。

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