<ストーリーズ>新天地で果樹園復活へ/関本典子さん(50)、翠さん(22)、元樹さん(20)、泉さん(18)千葉・香取市

【2021年1月】千葉県香取市の畑で看板を見せてくれた(左から)関本典子さん、翠さん、泉さん、元樹さん。「お母さんが書いた字はやっぱりすてきだね」と子どもたちは笑顔を見せた
【17年6月】事故の影響で自由に立ち入れなかった福島県大熊町のナシ畑。信行さんは先祖が開園時に植えた古木を見せてくれた。除染作業で惜しくも伐採された
【19年1月】大熊町ではナシ作りに加え、キウイの栽培に力を入れた好一さん(左)。周囲からは“レジェンド”とも呼ばれ、香取市の畑で元樹さんに指導

 見慣れた大きな看板は作業小屋の隅で土ぼこりをかぶっていたが、磨けばまだまだ使えそうだった。

 千葉県香取市にある「フルーツガーデン関本」。休止中の果樹園を久しぶりに訪れたという関本典子さん(50)は「もうすぐキウイフルーツの剪定(せんてい)が始まります」と笑顔を見せた。

 以前は福島県大熊町で100年以上続くナシ農家だった。同町に立地する東京電力福島第1原子力発電所の事故で、4代目を継いだ夫の信行さんと一家は避難を余儀なくされた。

 ナシ作りを再開するため香取市に移住したのは2012年12月。信行さんは古里の味を求めて作業を続けたが、17年8月に病気のため55歳で亡くなった。また休園となった。

 ナシの木は伐採されたが、大学3年の長男元樹さん(20)と祖父の好一さん(86)は、ひそかにキウイの栽培を続けていた。

 「卒業したら跡を継ぐ」。最近になって典子さんは元樹さんの決意を聞いた。「まずは家族を納得させるキウイを作りたい。いつかナシの栽培もできれば」と元樹さんは目を輝かせる。

 長女の翠さん(22)は就職が、次女泉さん(18)も大学進学が決まった。

 典子さんは「関本家は大きく変わります。次の10年はどうなるんでしょうね」と3人の姿に目を細めた。
(写真部・川村公俊)

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