社説(2/24):中国海警法施行/尖閣の現状変更を許すな

 国際法にそぐわない国内法を作り、権益を拡大しようとする試みは認められない。

 中国が海警局に武器の使用を認めた海警法を2月1日に施行した。領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島の周辺海域や、南シナ海の緊張が高まり、不測の事態が起こりかねない。

 中国海警局は、日本の海上保安庁に相当する組織として2013年に発足した。公安省の下で活動してきたが、18年の組織改革で軍最高機関、中央軍事委員会の指揮下の武装警察に編入された。

 施行された海警法は、今年1月の全国人民代表大会(全人代)常務委員会の会議で成立した。海上で中国の主権や管轄権を侵害する外国の組織、個人に対し、海警が「武器の使用を含むあらゆる必要な措置」を取ることができると明記した。

 外国の軍艦や公船への強制措置を認める規定は国際規範を逸脱しているとの指摘がある。

 さらに問題なのは、条文に法を適用する「管轄海域」の具体的な説明がないことだ。

 中国最高人民法院(最高裁)は過去に、領海や大陸棚に加え、「その他の海域」も含まれるとの解釈を示している。海洋進出を想定し、管轄海域を曖昧にしている可能性もある。

 中国の王毅国務委員兼外相は昨年11月に来日した際、尖閣周辺海域での日本漁船の活動について「日本側が既存の共通認識を破壊した」と主張。現状を改めることで「問題を沈静化できる」と述べた。

 日本政府が海警法に関し、中国側に「国際法に反する形で適用されることがあってはならない」と強い懸念を伝えたのは当然だ。

 海警局の船2隻は今月6日、海警法施行後、初めて尖閣周辺の領海に入り、航行中の日本漁船に接近しようとするなどした。海保は巡視船を配備し、領海を出るよう警告した。

 武器を持った漁民が不法上陸するなど、戦争状態とまで言えないが、警察や海保だけでは対応できない「グレーゾーン事態」の発生も懸念される。

 海保の巡視船を増強すると共に、警察や自衛隊と協力する体制を整える必要がある。

 米国のバイデン大統領は、尖閣諸島が米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲だと明言した。共に手を携え、中国の現状変更の試みを許さないとの姿勢を示すべきだ。

 中国は南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島に人工島を造り、領土と領海の権利を主張してきた。16年に国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所で根拠がないとされたが、実効支配は続いている。

 この問題で中国と争ってきたフィリピンやベトナムなどとも連携を強め、国際世論に訴えることも重要だ。

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