「奇跡の一本桜」復活 苗木を旧東六郷小跡地に植樹

桜の苗木に土をかける住民たち

 東日本大震災の津波に耐え、校庭に1本だけ残った仙台市若林区の旧東六郷小の桜を接ぎ木して育てた苗木が26日、学校の跡地で4月にオープンする東六郷コミュニティ広場に植樹された。「奇跡の一本桜」は枯死して伐採されたが、命をつなぐ苗木が跡地に復活し、桜の木が連なっていた震災前の姿を後世に伝える。

 NPO法人「冒険あそび場-せんだい・みやぎネットワーク」(仙台市)が取り組むプロジェクト。同区のせんだい農業園芸センターに仮植えし、育てた苗木21本のうち5本を植えた。

 跡地周辺の同区井土、二木、種次、三本塚、久保田東の各地区の住民ら約40人が集まり、背丈が2メートルほどになった苗木を植えてスコップで土をかぶせた。残る16本は各町内会や六郷小に寄贈され、地域で育てる。

 震災前の東六郷小は校舎を囲むように約10本のソメイヨシノが並び、満開時は校舎を桃色に染めた。だが、津波で校舎は1メートルほど浸水し、桜も濁流にのまれた。唯一、校舎脇にあった1本だけが残った。

 「奇跡の一本桜」も塩害などの影響で樹勢が年々衰え、枯れる恐れが高まった。NPO法人は住民と相談し、17年に桜を残す「ひがろく桜プロジェクト」を始動。最初は挿し木で再生に挑むも失敗し、埼玉県の造園業者の協力を得て、桜の枝から接ぎ木をして苗を育てることにした。

 一本桜は結局枯死し、20年6月に伐採された。一方で苗木は順調に育ち、20年3月に農業園芸センターに仮植えし、初めて花を咲かせた。住民は1年間、下草を刈るなど苗木の手入れを重ね、晴れて学校跡地で復活させる日を迎えた。

 種次町内会の大友重義会長(75)は「小学生の頃、桜の木の下で友達と遊んだ思い出がある。復活を果たし感無量。自分たちが大切に育て、次の世代につないでいきたい」と感激した。

 NPO法人の高橋悦子副代表理事(70)は「桜を絶やしたくない一心で取り組んだ。津波をかぶった土地でも花を咲かせ続け、地域住民の心のよりどころになってほしい」と期待した。

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