原子炉3基で炉心が溶け落ち、建屋が次々と吹き飛んでいく。日本中が震え上がった光景から10年。事故の終息作業が続けられてきたが、過酷な現実はまだ終わりを見せていない。2月18日、現状を取材するため東京電力福島第1原発の構内に入った。
(福島総局・斉藤隼人)
東京電力福島第1原発で、100メートル先に原子炉建屋を望む高台に立つ。海風が吹き付ける中、作業員が2号機の線量調査に向かっていた。水素爆発した3、4号機は鉄骨造りのカバーで覆われ、内部の様子は見えない。1号機も2年後に大型カバーが設置され、爆発の威力を物語ってきた外観は全て消えるという。
離れた通りを作業員が軽装で歩いている。かつて全域で全面マスクと防護服を必要とした構内は、感染症対策用を除けば96%のエリアでマスクも要らない。
「火の粉を振り払うような状況」(東電幹部)だった事故直後の悲惨な面影は薄れている。日々の汚染水発生量は減り、使用済み燃料の取り出しも2月末、炉心溶融炉で初めて3号機で終えることができた。
廃炉作業は一応の進展を見せたが、まだ底知れない難題が幾つも横たわる。その一つが廃炉の本丸とされる溶融燃料(デブリ)だ。
2022年以降に始まるデブリ取り出しに向け、炉心が溶融した1~3号機ではこの日も準備が進められていた。極めて高い放射線量が壁となり、これまでの調査で分かったのは「一部は動かせる」という事実まで。詳しい場所や性質も不明で、まずは耳かき1杯分程度の回収を目指す。
「世界中の英知を結集する」と東電担当者。推定880トンのデブリを全て取り出す技術は、今はまだ存在しない。
構内では廃炉作業に伴うがれきや木材、防護服などが至る所で山積みになっていた。日々増え続け、一切外に持ち出せないという。
事故に由来するという理由から、第1原発で出た廃棄物の搬出や処分は調整が難航する恐れがある。担当者は「核燃料を含め、当面は構内で確実に管理することが重要」と言葉少なに語った。
11年12月策定の工程表に明記されていた「原子炉施設の解体」は、改定を重ねる過程で消えた。各工程は年単位で遅れ、政府も東電も何を持って「廃炉」とするかを描けないまま、最長40年とした工期の4分の1が過ぎようとしている。
「現状で誠意を持って言えるのは目標に向かって努力し続けるということ。まだ白旗は揚げない」。最終的な廃炉の絵姿について担当者は「さまざまな関係者と相談の上で決める」と述べるにとどめた。
未知の技術開発と、長期に及ぶ社会的議論が必要となる廃炉。10年を経て、前に進むほどその姿がかすんでいくような感覚を抱いた。
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