伝承の紙芝居、卒業後も 宮城・七ヶ浜の高校生団体 「Fプロ」

小学生に紙芝居を上演したFプロの高校生たち=七ケ浜町汐見小

 宮城県七ケ浜町向洋中出身の高校生でつくる地域活動団体「きずなFプロジェクト(Fプロ)」が東日本大震災から10年の節目に、町汐見小で震災を伝承する手作り紙芝居を上演した。メンバーの半数以上を占める1期生の3年生は今月で卒業のため、高校生活最後の地元での活動となった。「震災を知らない世代に語り継ぎたい」と就職や進学後も活動を続ける考えだ。

 メンバーは4日、汐見小の1年生約40人に紙芝居を披露した。震災で母親と祖母を失った双子の姉妹が語り部として活動を始める物語を読み上げ、「誰かを失った時に後悔しても遅い。伝えたいことはその時に伝え、1分1秒を大切にしてください」と訴えた。

 児童らは真剣なまなざしで一言一句に耳を傾けた。佐藤彩葉さん(7)は「家族が津波で死んで悲しいと思った。震災のような大きな地震があったら高い所に逃げたい」と話した。

 2020年度のメンバーは17人。うち1期生は10人で、小学2年で震災を経験した。向洋中1年時から被災地を巡ったり、被災者と交流したりする震災学習やボランティアに取り組んだ。高校進学後も活動を続けるため、18年3月に15人でFプロを立ち上げた。

 紙芝居は震災の風化防止のため、年下の世代に分かりやすく伝えることができ、読み手として誰でも参加できる手段として考案。メンバーの体験を基に約1年かけて制作、19年7月に町松ケ浜小で初上演した。

 新型コロナウイルスの影響で活動自粛を余儀なくされたが、町内ではこれまで三つの小学校と幼稚園で上演し、複製品を全ての幼稚園と小学校に寄贈した。

 1期生の一人で、常盤木学園高を卒業して県内で就職する鈴木寧々さん(18)は「津波を目の当たりにして震災を思い出したくないし、話してはいけないと思っていた。震災学習もやる気がなかった」と中学時代を振り返る。

 語り部の体験談を聞くなどし、自分も伝えたいという気持ちが徐々に芽生えた。「紙芝居の上演を通して成長できた。今は世界に体験を発信したいと思う。今後も後輩のサポートなどを続ける」と話した。

 向洋中在籍時に震災学習を指導し、サポートを続ける名取市名取二中の瀬成田実教諭(63)は「震災学習をした後、復興に役立ちたいという生徒でチームを作った。高校を卒業するまで彼らの思いが続いたことがうれしい」と語った。

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