<とびらを開く>困窮者自立を食で支える 一般社団法人フードバンクいしのまき

フードバンクについて理解と協力を得るため自治会を対象に行った勉強会=2019年10月、東松島市

 安全に食べられるのに廃棄されてしまう食品ロスを引き取り、食べ物に困っている人や施設に届けるフードバンク。一般社団法人フードバンクいしのまき(宮城県石巻市)は気仙沼、栗原、登米、東松島など宮城県北エリアを対象に活動しています。代表理事の末永博さんに話を伺いました。

 末永さんは、東日本大震災の復興支援のため東北にやってきた日本初のフードバンク団体、認定NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン(2HJ、東京都)の石巻担当として活動する中で、県内にもフードバンク団体はあるものの、県北を拠点とする団体がないことに気付きました。

 2HJが支援を終え撤退する時、「県北にフードバンクをつくりたい」との思いが芽生え、県内のフードバンク団体や生活困窮者の支援団体で活動。その経験を踏まえ、2018年11月にフードバンクいしのまきを設立しました(19年9月法人化)。

 コロナ禍では、土日も事務所を開き、大崎市や気仙沼市に出向いて食品を無償提供する「フードパントリー」を行うなど緊急支援活動を展開。勤務先の時短営業や休業などの影響で、特にシングルマザーの家計が危機的状況にあると分かると、公共職業安定所(ハローワーク)や日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)に食料支援をするよう働き掛けました。

 末永さんは「私たちは食をきっかけに、適切な支援先につなぐ、いわば橋渡し役」と言います。困窮者が自立できるように、食に困ることになった要因を改善する支援が必要だからです。

 その具体的な取り組みに、困窮者の就職活動支援があります。県北では就職活動にも車が必要になることがあります。フードバンクいしのまきは、一般社団法人日本カーシェアリング協会(石巻市)から「車に関するお金が求職者の負担になっている」と相談を受けました。そこで、フードバンクいしのまきが困窮者に食品を提供し、浮いた食費を車の費用に充ててもらうという仕組みを提案し、協働で対応しています。

 フードバンクは行政や企業、NPOなど多方面の協力が必要な活動であり、末永さんは「仲間」と捉えています。大震災後、復興のために活動しながら他のいろんな団体の人ともよく話す中で、お互いの目指すものや価値観を知り、関係性を築いてきたことも今の活動を支えているそうです。

 本年度、宮城県から「フードバンク活動推進モデル事業」を受託し、さまざまな機関へフードバンクの周知、啓発を行っています。言葉としては広まりつつあるようですが、具体的な活動に対する理解はまだ十分に深まっていないそうです。

 食べることは生きることと切り離せません。関わり方は人それぞれですが、誰もが関わることができる活動だと感じました。「食品を寄付してくれる人も私たちの仲間ですよ」と言う末永さん。その仲間の輪が広がってほしいと思います。
(NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター 菅野祥子)

◎参考情報 一般社団法人フードバンクいしのまき
 ホームページhttp://foodbank-i.com/

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