福島県から始まった東京五輪の聖火リレーは25日、東京電力福島第1原発事故に伴う県内の旧避難区域などを巡った。復興が進む被災地の「光」の側面ばかりが切り取られ、「影」を日々かみしめる避難者の違和感は増した。国民の関心は新型コロナウイルス下でもリレーや本大会を断行する是非に集まり、復興五輪の理念は薄れている。
見栄え良く整えられた舞台を回り、あっという間に去った。
1年前にようやく全線再開したJR常磐線の双葉駅前にルートが設定された双葉町。距離は県内の各市町村で最短の480メートルで、ランナー3人が駅前広場を2周して6分で終了した。
面積の95%で避難指示が続く町にあって、小ぎれいなタイルで舗装された駅前広場は例外的な場所だ。道路1本を隔てて荒れ果てた民家や商店が並び、傷んだアスファルトの隙間から雑草が伸びる光景が広がる。
「きれいに整備した場所だけ見せるやり方はお手盛りだ。聖火には清めの力があるのだろうから、町じゅうを走ってくれればよかったのに」。双葉町から南相馬市に避難した無職玉野卓也さん(43)が皮肉を込めた。
町内の自宅は既に取り壊され、南相馬で購入した中古の一戸建てで暮らす。町とのつながりはほぼ失ったが、忘れられないのは双葉の海の風景。国の「快水浴場百選」に選ばれた海水浴場は地域の自慢だった。
「双葉の本当の象徴はあの海岸。避難後も一時帰宅のたびに訪れた。あそこなら福島第1原発だって見えた」と玉野さん。駅前を走るだけのリレーが「復興五輪」の名の下に行われることがふに落ちない。
浪江町のルートは、延期前の計画に大きな変更が加えられた。ランナーは福島ロボットテストフィールドなど原発事故後に完成した先端研究施設ではなく、より住民に近い町中心部を走った。
「見掛けはだいぶましになったが、コロナで世界中が大変な時にそれでもやるというのは驚きだ」。浪江町から福島市に避難した元原発作業員の今野寿美雄さん(57)はリレーを遠巻きに見守った。昨年9月、帰還困難区域にあった自宅を解体した。
県が公表する原発事故避難者数は2月現在、3万5703人。だが、今野さんのように県内の復興公営住宅に入居すると、たとえ元の住所が帰還困難区域内であっても数に含まれない。
「死ぬまで住む予定の家に、たった9年しか住めなかった。世間は聖火、聖火と騒いでいるが、帰れないのは誰の『せいか』と言いたいよ」
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