宮沢賢治の直筆草稿と確定 「S博士に」詩稿、花巻市が分析結果発表

直筆草稿の可能性が極めて高いと判断された「S博士に」

 岩手県花巻市は29日、昨年6月に寄贈された宮沢賢治の詩「S博士に」の草稿とみられる資料について、インクと用紙の成分を分析した結果、直筆草稿の可能性が極めて高いと発表した。関係資料と合わせて一般公開を検討する。

 「S博士に」は、賢治が晩年の昭和初期に書いた「疾中」詩群の一編。直筆草稿か判断するため、同時期の賢治作品「ひるすぎの三時となれば」の草稿と京都市の民間機関で比較分析した。その結果、赤色、黒色インクと用紙とも元素の種類がほぼ一致した。

 「S博士に」は賢治が病床の思いを記した作品で、賢治の主治医で総合花巻病院創設者だった佐藤隆房氏(故人)がS博士とされる。草稿は戦後、賢治の弟清六氏(故人)から佐藤氏に贈られており、今回寄贈された佐藤氏のコレクションから見つかった。

 これまで直筆草稿とみられていた原稿の画像資料はインクの赤色、黒色が逆になっていた。これは佐藤氏が関係者に配るなどの目的で作った複製品の可能性が高いという。

 上田東一市長は「佐藤氏は賢治と親交が深く、花巻の医療にとって偉大な先人。その人について賢治が書いた直筆作品が見つかったことは大きく、大事にしたい」と話した。

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