女川再稼働の地元同意「支持せず」59% 避難計画「不十分」64% 本社世論調査

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年を迎え、河北新報社は宮城県内の有権者を対象に原発に関する世論調査を実施した。東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に絡み、2020年11月に県と立地2市町が「地元同意」=?=を決めたことに対し、「支持しない」との回答が59・6%に上り、「支持する」の32・8%を大きく上回った。

 女川町では支持が66・3%を占めた。石巻市は支持が43・7%で、不支持の42・8%をわずかに上回った。原発30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の5市町(登米市、東松島市、涌谷町、美里町、南三陸町)は支持38・4%、不支持58・5%だった。

 不支持の理由を尋ねたところ、「県民の意見が反映されていない」54・6%、「避難計画の実効性が確保されていない」24・7%。一方、支持の理由も「県民の意見が反映された」48・0%、「避難計画の実効性が確保された」28・5%となり、同意の論拠を巡って見解が分かれた。

 重大事故を想定した広域避難計画=?=について、「不十分」「どちらかといえば不十分」が計64・4%に上り、20年3月の前回調査から4・7ポイント増。「十分」「どちらかといえば十分」は計26・7%(2・6ポイント増)で、計画の実効性に不安を持つ県民が依然として多いことが分かる。

 不十分と答えた理由は「放射性物質の汚染の広がり方の想定が不十分」が40・9%で最多。「高齢者ら要援護者の避難想定が不十分」22・3%、「渋滞の発生など混乱が予想される」15・7%が続く。

 「住民への周知が不十分」は7・3%。前々回調査(17年8月)は23・6%、前回は9・6%で漸減しているが、周知の進展が計画の信頼性に結び付かない状況がうかがえる。

 今秋の宮城県知事選(11月20日任期満了)で、女川2号機の再稼働の是非を投票の判断材料にするかどうかも聞いた。「しない」が49・5%で、「する」の45・9%を上回った。前回選挙を控えた17年調査は「しない」45・6%、「する」49・1%だった。

 女川原発は東日本大震災以降、全3基が停止している。2号機は20年2月に原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格。東北電は安全対策工事を終える22年度以降の再稼働を目指すほか、3号機についても審査申請の準備を進める。1号機は20年7月に廃炉作業が始まった。

[地元同意]原発再稼働の前提となる地元自治体の同意に法的規定はなく、政府は「立地自治体等関係者」の理解を得て再稼働を進める方針を示す。東京電力福島第1原発事故の広域被害を受け、政府は避難計画策定を義務付ける範囲を半径30キロ圏の自治体に拡大したが、これまで国の新規制基準に基づき再稼働した全国の5原発9基での同意対象は県と立地自治体に限られた。女川原発2号機を巡っては、20年3月の国の地元同意要請を受け、宮城県と女川町、石巻市が同11月に同意を伝えた。

[広域避難計画]福島第1原発事故を踏まえ、国が原発から半径30キロ圏の自治体に策定を義務付けた。重大事故時に30キロ圏外に避難できるよう、避難先やルート、輸送手段を定める。女川原発周辺の宮城県内7市町が17年3月までに策定し、20年3月には内閣府や県などでつくる「女川地域原子力防災協議会」が取りまとめた。住民約19万9000人が自家用車やバスなどで県内31市町村に避難する内容で、同6月、政府の原子力防災会議で了承された。

[調査の方法]宮城県内の有権者を対象に3月13、14日、コンピューターで無作為発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。実際に有権者のいる世帯に電話がかかったのは812件、このうち640人から回答を得た。地域別の内訳は、女川原発が立地する女川町と石巻市計160人、女川原発30キロ圏2市3町(登米市、東松島市、涌谷町、美里町、南三陸町)計170人、その他310人。集計では、地域別や性別、年代別など有権者の構成に合わせ、ゆがみをなくす補正をした。

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