<ペット考現学>(5)ウサギ⑤/無理に触ると心閉ざす

ある程度の距離を保っています

 「ウサギって寂しいと死んじゃうのですよね…」「寂しいと死んじゃうって聞いたので何匹か一緒に飼わないとだめですか…」。随分と学生やお客さまから質問をされた内容です。最近ではそれが事実ではないということが浸透して、ほとんど聞かれることはなくなりましたが、ウサギは寂しいと死んでしまうというイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

 結論から言うと、ウサギは寂しがり屋ではありませんし、寂しさが直接の原因で死ぬことはありません。ウサギが寂しがり屋というイメージはメディアから生まれた誤解です。どちらかというとウサギは縄張り意識が強く、「ひとり」で行動することを好みます。また、人に抱っこをされておとなしく見えるウサギですが、実はあの姿、抱き上げられたことに対する恐怖心で固まっている場合が多いのです。

 ウサギは野生下で高所に登ることは基本的にありません。目線の高さは後ろ足で立ち上がって耳を立てて周囲の音と周りを見回す程度です。そんなウサギが不意に人の胸の高さにまで持ち上げられれば恐怖で固まってしまうは無理もありません。天敵に襲われる側であるウサギにとって抱き上げられる、不用意に近寄られる、急な動きで迫られるのは実はとても怖いことなのです。もちろん、ペットとして小さいころから飼育されている子であれば人に対しての警戒心もいくらかは和らいでいると思いますが、それでも本能の中に根強く警戒心が残っていることは確かです。

 ウサギに限らず小動物や鳥類は自らの生命を脅かすものに決して心を開いてはくれません。ペットとして迎え入れ、早く仲良くなりたいからといってしつこくなでる、嫌がっているのに無理に触り続ければ(人は動物が嫌がっていることに気付かないことも多いです)人の手や人そのものに対して「自分にとって嫌なことをするもの」と動物たちは覚えてしまいます。動物には人間同様に学習能力があります。学習と聞くとお手や伏せ、待て、などのトレーニングを思い浮かべがちですが、人の手を怖がるなどのマイナス面の学習があることも忘れないでください。

 動物と仲良くなりたい。その気持ちを動物が安心できる穏やかな気持ちと落ち着いた動作で表してあげてください。きっと動物たちはみなさんの気持ちに応えてくれるはずです。
(仙台総合ペット専門学校教務課長)

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