<まちかどエッセー・小田中しおり>高齢者施設じゃないの?

小田中しおり[おだなか・しおり]さん 作業療法士。1963年仙台市生まれ。旧国立仙台病院付属リハビリテーション学院卒。98年国家資格取得。生活介護施設、障害児等療育支援事業所、特別支援学校で身体・発達障害児者を支援している。仙台市青葉区在住。

 作業療法士の養成校を卒業後、老人保健施設や障害者の就労支援機関で働き、出産を機に退職しました。子育てしやすい環境に転職するためでした。娘の保育園が決まるとすぐ先輩から「仙台つどいの家」という施設が作業療法士を急募しているよと声を掛けられました。

 名前から連想して高齢者施設と思い込んで面接に行った私は、入り口で飛び跳ねたり、踊ったりしている若い利用者さんたちを見た時、正直引き返そうかと思いました。重症身障害児・者の入所施設で実習したことはあっても、重度の知的障害者と接することはありませんでした。ここは知的障害者の生活介護施設だったのです。

 施設長は重症心身障害の娘さんのため苦労して施設を立ち上げたこと、医師に機能訓練を頼んでも無駄だと断られて悔しかったことなどを話してくれました。予想外の展開に戸惑いながらも、施設長の熱い思いに心を動かされ、利用者さんと職員の笑い声と笑顔が印象的だったこの施設に就職することに決めたのです。

 私は仙台つどいの家の重症心身障害者が活動するクラスに所属しています。気管切開したところから随時吸引をしたり、胃に直接栄養を入れたりする医療的ケアと呼ばれる特別な介護が必要な人たちが通所しています。

 また、どんなに重い障害のある人でも自立した地域生活ができるよう支援するという法人理念の下、外出をする機会を多く設け、初詣、花見、コンサート、ホテルのランチや日帰り温泉などへ積極的に出掛けています。職員の介護負担は軽くはないけれど、同じ経験を共有することは言葉で関われない利用者さんとの大切なコミュニケーションの一つと捉えているのです。

 そのような外出活動を安全にかつ十分に楽しめるように、私は作業療法士として利用者さんの体の緊張を緩めたり、体の動きを良くしたり、車いすの姿勢や装具をチェックしたりする支援をしています。人生は一度きり。誰でも自分の能力を最大限に生かして楽しんでもらいたいと思っています。

 現在はコロナ禍で外出活動を控えているのですが、収束したら外出や行事を復活したいといろいろ計画しています。職員やボランティアでぜひ私たちと一緒に人生を楽しみませんか。
(作業療法士)

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まちかどエッセー

 仙台・宮城在住の執筆者が、それぞれの活動や暮らしで感じたことをつづります。


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