原発処理水、海洋放出へ 首相「近日中に判断」 全漁連会長と面会

首相官邸で菅首相(中央)と面会する全漁連の岸会長(左端)ら=7日午後(全漁連提供)

 政府は東京電力福島第1原発にたまり続ける放射性物質トリチウムを含む処理水を、海洋放出する方向で最終調整に入った。菅義偉首相は7日、官邸で全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長らと面会し、近日中に処分方針を判断する意向を明らかにした。政府は会談を踏まえ、関係閣僚会議を開く方針。岸会長は海洋放出に反対する考えを重ねて示した。
 菅首相は会談で「廃炉の着実な進展は東日本大震災からの復興の前提で、処理水の処分は避けて通れない。海洋放出がより確実に実施できるとの専門家の提言を踏まえ、政府方針を決定する」と伝えた。
 菅首相は会談後、報道各社の取材に応じ「風評被害を最小限にする努力は絶対に必要だ」と強調した。政府は方針決定後も準備と並行し、関係者や国民に理解を求めていく考え。
 岸会長は「海洋放出の反対はいささかも変わらない」とした上で(1)漁業者、国民への責任ある説明(2)風評被害への対応(3)処理水の安全性担保(4)福島県をはじめ、全国で漁業が継続できる方策(5)保管タンク増設などの検討-を要請した。
 同席した野崎哲福島県漁連会長も「地元を中心に漁業を続けることが、県内漁業者の統一した意思だ」と反対した。
 記者会見した梶山弘志経済産業相は「要請された5項目は、しっかり検討していきたい。今後も丁寧な説明、説得を続けていく」と述べた。
 福島第1原発では高濃度の放射性物質を含む大量の汚染水が発生し、浄化した後の処理水を保管するタンクが敷地を埋めている。東電はタンクの満杯時期を2022年秋以降と見込む。放出準備に2年程度かかるとされる。
 政府の小委員会は昨年2月、海洋や大気への放出が現実的と提言。政府は同年10月下旬にも海洋放出を決定する構えだったが、風評被害対策の具体化などが必要だとして先送りした。
 梶山経産相と今年3月に会談した国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、環境影響監視などで支援する意向を示した。

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