8日に告示された福島県浪江町の町議選で、告示日を複雑な思いで迎えた女性がいる。千葉市に避難中の石井悠子さん(40)。4年前、町議選に初当選し、県外避難者らの声を町政に反映させようと頑張ってきたが、今回は立候補を見送った。「避難」と「帰還」の間で揺れる浪江で、議員活動を続けることに悩んだ末の選択だったという。
東京電力の関連会社に勤め、東日本大震災が起きた2011年3月11日は東京電力福島第1原発の構内で仕事中だった。免震重要棟に避難し、その日の夜に知人の車で原発を離れた。町内の自宅には戻らず二本松市や埼玉県八潮市で暮らした後、夫の仕事の関係で千葉市に落ち着いた。
浪江町で生まれ、育った。町の復興支援員を3年間務め、「当時千葉県内に550人の町民が避難していた。その人たちを担当して、訪問したり交流会を開いたりした」と石井さん。避難者と浪江をつなぐ役目を担いたいとの気持ちが高まり、家族の反対を押し切り17年4月の前回の町議選に立候補した。
定数16に対し17人が立候補した選挙で得票数2位で初当選。それから車で片道4時間の浪江通いが始まった。議会開会中は、二本松市に避難した親の家や浪江町内の知人宅に泊まった。
第1原発事故により、浪江町の町民は今も県外に約6000人が避難する。原発事故から年月がたつにつれ、避難者と古里との結び付きが薄れていくことを懸念する石井さん。「帰れない人ともつながりを持ち続けていくべきだ」という思いで活動を続けた。
しかし、就任以来「浪江に帰って来たらどうか。議員として恥ずかしくないのか」「いつになったら戻って来るの」などと言われ悲しくなった。「戻って頑張っている人もいる。帰れない自分が申し訳ない」と思う時もあった。
「議員を続けて」と期待する声も多かったが、家族の意見も考慮し、2度目の立候補は断念した。5月からはNPO法人職員として、県外避難者らの相談事業に取り組む予定だ。
第1原発から20キロ圏内の浪江町は一時、全住民約2万1000人が町外に避難した。17年3月に町中心部などで避難指示が解除されたが、その面積は全体の2割にすぎず、約4000人が住んでいた残り8割の地域は今も戻れない。
今年2月末現在で、町の住民登録は1万6650人だが、町内在住者は1596人。石井さんは「帰った人と帰らない人がいる。帰りたくても帰れない人もいる。同じ町民なのに、見えない溝ができてしまったような気がする」と話した。
東京電力福島第1原発事故に伴い一時全町避難した福島県浪江町で、任期満了に伴う町議選が8日告示され、定数と同じ16人が立候補を届け出たため全員の無投票当選が決まった。町選管によると、町議選が無投票になったのは記録のある1960年以降、補選も含めて初めて。7日現在の有権者は1万4786人。
原発事故前の2009年選挙では当日有権者が1万7458人、投票率78・17%だったが、前回17年は1万5779人、45・21%といずれも大きく低下した。町中心部で避難指示が解除されたものの、住民の帰還が進んでいないことが影響したとみられる。
定数は原発事故後の13年に20から16へ減らした。議会では、さらに削減を求める意見が出ている。
◇福島・浪江町議選当選者(8日、無投票、定数16)佐々木茂、小沢英之、山崎博文、高野武、松田孝司、平本佳司、紺野栄重、紺野豊、紺野則夫、半谷正夫、佐々木勇治、山本幸一郎、渡辺泰彦、吉田邦弘、佐々木恵寿、武藤晴男
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