処理水海洋放出を首相表明 「2年後めどに開始」

東京電力福島第1原発の敷地内に並ぶ処理水を保管するタンク=2月

 東京電力福島第1原発にたまり続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の処分を巡り、政府は13日、同原発で海洋放出するとの基本方針を決めた。菅義偉首相は「2年後をめどに開始する」と表明。周辺環境のモニタリングや風評対策を強化する。海洋放出に反対する全国漁業協同組合連合会(全漁連)は「到底容認できない。全国の漁業者の思いを踏みにじる行為だ」と強く抗議した。

 首相官邸であった関係閣僚会議で、菅首相は「基準をはるかに上回る安全性を確保し、政府を挙げた風評対策の徹底を前提に、海洋放出が現実的と判断した」と言及した。

 基本方針によると、海洋放出の選択理由として国内での実績を示した。風評対策などを検討する関係閣僚会議を新設し、週内にも初会合を開く。菅首相は記者団に「私自身がしっかり説明し、理解を得られるようにしたい」と語った。

 会議に出席した東電の小早川智明社長は取材に「安全な設備を計画し、主体性を持って取り組む」と答えた。福島県庁で梶山弘志経済産業相と面会した内堀雅雄知事は「精査して県の意見を述べる」と応じた。

 実施主体の東電は原子力規制委員会への申請や設備工事を経て、事故から30~40年の廃炉期間内に海へ流す。トリチウムの濃度は、世界保健機関(WHO)が定めた飲料水基準の約7分の1に薄める。年間放出量は当面、事故前の放出管理値と同じ22兆ベクレルを下回る水準とする。

 政府は風評被害の影響を最大限抑えるため、漁場や海水浴場などで放出前後のトリチウムの濃度を調べる。海洋環境の専門家会議も設けるほか、環境影響の分析で国際原子力機関(IAEA)の協力を得る。

 福島県の水産業の販路拡大や観光客誘致など支援策も講じる。風評被害が確認された場合、賠償への迅速な対応を東電に指導する。

 東電は保管タンクの満杯時期を「2022年秋ごろ」と説明。放出開始には間に合わない計算で、タンク増設を表明する見通し。

 政府の小委員会は昨年2月、海洋や大気への放出が現実的と提言。政府は同年10月下旬にも海洋放出を決定する構えだったが、風評被害対策の具体化などが必要だとして先送りした。菅首相は7日、全漁連の岸宏会長らと面会していた。

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