復興庁(2)インタビュー/桑田但馬氏

 東日本大震災の復興交付金は「自治体による復興の取り組みをあらゆる施策を用いて支援する」との方針の下で制度設計された。しかし、必ずしも被災地の思いとは一致しなかった。岩手県立大教授の桑田但馬氏(47)に評価を聞いた。
(聞き手は桐生薫子)

岩手県立大教授・桑田但馬氏/自治体の意向くみ取れず

[桑田但馬(くわだ・たじま)氏]立命館大大学院博士課程修了。2007年4月から岩手県立大総合政策学部講師、准教授を経て20年から現職。専門は財政学。京都府出身。

 -復興交付金が創設された当時の印象は。

 「復興財源の主要な位置付けにあった。民主党政権が国庫補助金を廃止し使途を自治体に委ねる一括交付金の導入を進めていた中で震災が起きた。復興交付金はその延長線上にあったように思える。政治家が事前に『自由度の高い交付金だ』と過剰にアピールしたため、後に反発を招いた」

 -基幹事業は5省40事業に固定化されていた。

 「メニューの少なさに驚いた。防災集団移転促進事業や災害公営住宅など、従来のハード整備を中心とした『開発調整型』に偏り、営みなど産業系の支援が抜け落ちた。国は元々、自治体のニーズに応じた施策を作る能力を備えていないということだ」

 -自治体の意向にそぐわない「査定」がされた。

 「金の出し渋りは従来の省庁縦割りを引きずった結果だ。当初、復興庁の官僚が自治体との付き合い方を分かっていなかったことも影響した。あまりにも画一的で応用が利かない制度だと国側も途中で悟り、だんだんと緩やかになった」

 -効果促進事業は少しずつ使途が拡大した。

 「基幹事業の縛りが厳しく、効果促進事業で自治体の要望をすくい取る仕組みに転換した。復興交付金の要項にある『地域のニーズに応じた支援をする』との考えを反映した形だろう」

 -復興事業は過大投資を招き、モラルハザード(倫理観の欠如)を引き起こしたと批判される。

 「自治体が責められるのはおかしい。国の『責任回避論』としか思えない。復興庁は自治体の申請をチェックし、取捨選択して配分したのではないか。むしろ総じて自由度は低く、実現しなかった事業は少なくなかった」

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