情報公開請求、東北の5市で制限 在住者に限定 主要17市調査

情報公開請求権を「何人も」と広く認める条例(左)と、原則在住者だけに限る条例

 知る権利や国民主権の理念に基づき行政情報の公開を原則とする情報公開制度に関し、東北の主要17市(2020年時点で人口10万以上)のうち、5市が条例で公開請求権を市内在住者に限定している。行政運営を第三者の目でチェックする情報公開の重要性は年々高まっている一方、全国的に請求権の乱用対策も議論されているが、規模の大きな自治体で権利さえ認めないのは少数派だ。

 河北新報社の調査では、東北の全17市が情報公開条例を制定しており、請求権者の範囲は異なる。12市は「何人(なんぴと)も」と表記し、個人や法人、在住地、国籍、年齢を問わず誰からの請求も受け付けている。残り5市は市内在住者や利害関係者に限定している。

 国の情報公開法は請求権者を「何人も」と定めており、請求権を市内在住者に限定する5市の条例は国の法律よりも権利を制限している。

 5市のうち鶴岡、郡山両市は「任意開示」などと称し、在住者以外にも市の裁量で開示に応じるよう努力義務を設けているが、不開示決定に対する不服申し立ての手続きが規定されていないなど、情報公開請求権とは法的に別物だ。

 情報公開制度は1982年に山形県金山町が全国で初めて設けて以降、行政の説明責任を担保する仕組みとして定着した。

 報道機関の地方支局や通信部が減少するなどし、行政に対する監視機能が低下しかねない現状で、重要性はさらに高まっている。市町村で交流・関係人口が拡大し、ふるさと納税制度が定着する中、行政情報の公開請求権をあえて在住者に限る根拠も揺らいできている。

 情報公開制度を巡っては近年、請求権の乱用を防ぐ目的の条例改正が全国各地で起きている。行政の混乱を招きかねない大量請求や多数回請求を拒否するなどの内容だが、そもそも請求権を在住者にしか認めない条例は、議論に追い付いていない。

 東北の県庁所在市で唯一、請求権を在住者に限定する秋田市の担当者は「市政に対する市民の理解を深め、市民による市政への参加を促す趣旨の制度だ。市民限定の現行制度で困ったことはない」と話す。

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