端っこ野菜、「リボベジ」で再生 豆苗の勢い止まらず

石館さんが育てたリボベジ。食べるだけでなく、観葉植物としても楽しめる

 野菜の根元や切れ端を捨てずに育て、新たに出てくる芽や葉を楽しむ「リボーンベジタブル(リボベジ)」。巣ごもり下の自宅で気軽にできるガーデニングの一種です。うららかなこの時季は、リボベジもよく成長します。食べて良し、めでて良し。身近な野菜の魅力を再発見できますよ。
(生活文化部・長門紀穂子)

 料理研究家で、室内やベランダなど自宅の限られた空間で野菜作りに取り組む民間資格「ホームエコファーマー」を持つ石館志保子さん(64)=仙台市=は、4年ほど前からさまざまな種類のリボベジを育てている。キッチンには、水耕栽培する大根やニンジン、クレソンなどがずらりと並ぶ。青々とした葉が茂り、まるで観葉植物のようだ。

 「水だけで成長するし、さっと手を伸ばして刻めば汁物の浮き実やおかずの彩りになる。リボベジは本当に便利」と石館さんは話す。

 育てやすいのは大根やカブ、水菜といったアブラナ科の野菜。ネギ類やセリ、三つ葉などもお薦めだ。リボベジの代表選手とも言える豆苗は2回ほど収穫できるのが魅力。カイワレ大根やホウレンソウは成長が遅く、リボベジには向かない。

 栽培方法は、野菜を切って水に浸すだけ。芽の成長に必要な養分を確保するため、根菜類は葉の付け根から1、2センチ下を、ネギ類は根元から5センチほど上を残して切る。水は切り口が浸る程度与え、1日1回を目安に替える(イラスト)。

 「日が当たり過ぎると葉が焼け、水温も上がって雑菌が繁殖しやすい。直射日光が入らない台所はリボベジの特等席」と石館さん。1週間から10日で食べ頃を迎え、3週間ほどプチ収穫を楽しめる。虫に食べられる心配も少ない。

 リボベジには食品ロスの軽減や、野菜の生命力を身近に感じられるという利点があり、子どもの食育に最適だと石館さんは期待を寄せる。「腐らせて失敗したり、食べ頃を逃して咲いた花を見たりすることも貴重な経験になる。野菜に目を向け、愛着を持って食べるきっかけにしてほしい」

記者も自宅で挑戦

 「野菜たちが頑張って育つ様子がかわいらしい。収穫の喜びも味わえるし、元々捨てるものだから失敗しても負担が少ない」。「リボベジ愛」を語る石館さんの後押しを受け、数々のサボテンや観葉植物を枯れさせてきた記者が挑戦した。
<初日>
 選んだのは、冷蔵庫にあったチンゲンサイに曲がりネギ、大根、豆苗。台所の隅で存在を忘れ去られていたニンジンは、すでに茶色く弱々しい芽が出ていたが起死回生を狙ってみる。

リボベジ初日。左からチンゲンサイ、曲がりネギ、ニンジン、大根、豆苗

<2日目>
 透明なグラスやお気に入りの皿に入れ、キッチンに並べる。それなりに見栄えがいい。家族全員で朝晩、水やりに精を出す。

<4日目>
 それぞれに芽が出てきた。ぐんぐん伸びる豆苗の生命力に驚きつつ、極端に成長が遅いニンジンが心配で愛着が湧く。夜、皿が乾いていることに気付き、慌てて水やりする。

<7日目>
 ニンジンがやっと成長軌道に乗った。切り口を見ると少し黒ずみ、皿にぬめりもあった。慌てて流水で洗う。ネギは細長い芽が曲線を描いていてオブジェのよう。

<10日目>
 20センチ近く伸びた豆苗を筆頭に、それぞれ順調に成長。ニンジンは色も濃くなり、かわいい葉を広げている。水と野菜の養分だけでここまで育つことに感動。包丁で切り落とす瞬間は心が痛んだ。豆苗はスープに、他の野菜は夕飯のサラダや肉の彩りに添えた。ごちそうさまでした。

豆苗の勢いが止まらない。大根は約10センチ、曲がりネギは約6センチに育った。そろそろ収穫

リボベジ使った料理のレシピ

 豆腐の空きパックに豆苗などを入れ、何度も育てる「節約食材」のイメージが強かったリボベジだが、見た目の愛らしさから最近は観葉植物としても注目されている。

 「グラスや100円ショップで売っている透明のアクリル収納ケースを使うとぐっとおしゃれになる。一つの容器に複数の野菜を並べるのも面白い」と石館さん。

 観賞用に薦めるのはイモ類。容器に合う大きさにカットし、切り口を水に浸すと、数日でくぼみから芽が出てくる。サツマイモはハート形の葉が特徴で、赤い茎と緑の葉のコントラストが美しく見栄えがいい。サトイモやジャガイモも同様に楽しめる。

 観賞より収穫を楽しみたければ、土植えもできる。石館さんは「室内より虫が付きやすいが、水だけで育てるよりも成長が早い。100円ショップで売っている小さなプランターと土でもしっかり大きくなる」と話す。

 野菜ソムリエでもある石館さんに、育った葉の風味を生かしたレシピを教えてもらった。リボベジの中でも収穫量の多い豆苗を使ったスープと、香りの良いニンジンを添えたサラダだ。どちらも簡単に作れ、美しい緑が食卓を引き立てる。レシピは次の通り。

リボベジ豆苗で作る梅風味スープ

【材料・4人分】
豆腐 1/4丁(さいの目切り)
豆苗 1ケースの半分(長さ2センチに切る)
キュウリ 1/3本(薄い輪切り)
梅干し 2個(種を取り除き、包丁でたたいておく)
水 700ミリリットル
昆布茶 小さじ1
片栗粉 大さじ1(水大さじ2を入れて溶く)
【作り方】
 鍋に水を入れて煮立て、昆布茶と梅干しを入れる。豆腐と豆苗、キュウリを加え、仕上げに水溶き片栗粉でとろみを付ける。

ニンジンサラダ~かわいいリボベジ葉を飾って

【材料・4人分】
ニンジン150グラム(中1本を千切り)
クルミ大さじ3
A(酢大さじ2、塩小さじ1/3、蜂蜜小さじ2、オリーブオイル大さじ2、こしょう少々を合わせておく)
ニンジンの葉 適宜
【作り方】
 ①千切りしたニンジンを塩少々(分量外)で軽くもみ、5分ほど置く。キッチンペーパーで水分を軽く切る②クルミはフライパンで香ばしくいり、包丁で粗く刻む③器に(1)を盛り付けてクルミを散らし、Aをかける。最後に葉をふんわりと飾る。

「ホームエコファーマー」石館さん開設
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