「もう辞めたい…」 コロナ下の五月病、どう乗り越える? 専門家に聞く

日本産業カウンセラー協会東北支部の末冨美貴支部長

 コロナ下で社会人生活を始めた新入社員の皆さん、体や心の不調を感じていませんか。初の大型連休が終わると「仕事に行きたくない」「もう辞めたい」と沈んだ気持ちになりがちです。今は外出自粛が続き、ストレスをため込みやすいといった事情もあります。もし「五月病」になってしまったら、心配ですね。個人として、職場として、どう対処したらいいのでしょうか。日本産業カウンセラー協会東北支部(仙台市)の末冨美貴支部長にアドバイスしてもらいました。
(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)

適応障害の一つ

 ―コロナ下の新社会人は、どんなストレスを抱えていますか。

 「仕事を覚えないといけないし、職場で人間関係を築かないといけません。1人暮らしになれば、家事も始めないといけません。初めてのことは誰でも不安で緊張もしますが、新社会人の生活の変化は特に大きく、多方面に及びます」

 「コロナ下はリモートワークが増えたり、飲み会が減ったりして対面で接する機会に恵まれません。職場で人間関係を築くのが難しくなります。ビジネスマナーやこまごまとした雑務を覚える機会も減るので、そこに起因した小さな失敗を一度でもしてしまうと、自信を失ってしまうことがあります」

 「外出自粛でストレスを発散するのが難しく、気分がアップダウンしやすくなります。オン・オフも付けづらく、生活リズムは乱れがちです。感染再拡大への恐れ、収入の減少に伴う将来への不安も重なってきます。宮城県内で相次ぐ大きな地震もストレスになっているかもしれません」

 「生活習慣が乱れると、適応障害に陥りやすくなります。五月病も適応障害の一つ。症状はさまざまで、やる気が出なかったり、不安になったり、頭痛や微熱、下痢が続く人もいます」

[五月病]新入生や新入社員が慣れない生活でストレスをためたり、無理をしたりすることで、心身の症状(身体のだるさや疲れやすさ、無気力、悲観的な思考、不眠、食欲不振など)が現れること。正式な医学用語ではなく、5月になるころに発症しやすいため呼ばれている。

生活リズム大切

 ―新入社員が心掛けるべきことは何ですか。

 「ちゃんと寝て、食べて、生活リズムを整えることです。布団に入ってからスマホを見ると、夜更かしにつながりがちなので避けてください」

 「時間の使い方も大事です。休みの日にだらだら過ごしてしまうと、余計に疲れてしまいます。何もしない休日が積み重なると成長できていないとも感じ、ストレスになります。散歩や料理、オンライン飲み会など、コロナ下でも工夫して楽しみを見つけてほしいです」

 「職場の人間関係を構築するため、コミュニケーションには努力が必要ということも覚えておいてください。入社したては周囲が気を使って話し掛けてくれますが、1カ月もたつとなくなってきます。自分から話し掛けたり、あいさつしたりして、仕事で困った時にはすぐ聞ける関係をつくることが大事です」

上司も気遣いを

 ―職場の上司、同僚はどのように接するのがいいですか。

 「新入社員世代の特徴を理解するよう努めてください。自分の価値観や思い込みをもって接すると、ひどい場合はハラスメントになってしまいます」

 「若い人の多くはデジタル技術に親しみ、情報の検索能力に優れています。一方、自分なりに情報を解釈し、上司が求めるものとは違うアウトプットをしがちな傾向があります。本人はよかれと思ってやっているので、期待と違っていても全否定せず、良いところや努力は認め、様式やルールを説明してください」

 「失敗をすごく恐れるので、消極的に見えることもあります。できないことが不安だから、丁寧な指導を求めています。吸収力は高いので、面倒くさがらずに一から十までを0・1刻みで教えて、できたことは褒めてあげるといいと思います」

 「新入社員は孤独です。出歩くにも土地勘がなく、知り合いもおらず、リモートワークも多ければなおさらです。プライベートは全然関係ないよという態度ではいけません。問題はプライベートへの踏み込み方です。日頃からコミュニケーションを取り、互いに許せる範囲のお付き合いも、たまには良いのではないでしょうか」

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