高名な仏師作? 不動三尊像修復したい 大槌の有志CF募集

津波で被災した不動明王三尊像(京都科学提供)

 東日本大震災の津波で被災した仏像を修復しようと、岩手県大槌町のNPO法人が寄付を呼び掛けている。制作には盛岡藩の豪商や江戸の高名な仏師が関わった可能性があり、郷土の文化と誇りを守りたいと協力の輪の広がりを願う。

 被災したのは、同町の沢山不動尊の不動明王三尊像。木造で不動明王(高さ45・3センチ)の左右に矜羯羅(こんがら)、制多迦(せいたか)の2童子を配する。お堂が残り、流失は免れたが浸水した。老朽化や過去の粗雑な修復もあり、部材の外れや塗料の剥落、造形の改変がみられる。

 不動尊を代々守ってきた同町の沢山重夫さん(86)によると、戦後の混乱で文書を失い、詳しい由来は不明だった。震災後はそのまま安置していたが、盛岡市の高校教員で岩手県内の文化財に詳しい佐々木勝宏さん(59)が調査した結果、歴史的に高い価値がある可能性が判明した。

 佐々木さんは地元の仏教家、菊池祖睛(そせい)=1729年-1806年=が残した文書に着目した。1804年、沢山の洞宝妙院の不動三尊を江戸の仏師安岡良運が制作したとの記述が、被災した仏像に当たると推測する。

 安岡良運は当時、国内有数の仏師で、三尊像にも高等技法が使われている。祖睛の主人筋で大槌を拠点に活動した盛岡藩の御用商人、前川善兵衛の江戸の出先と安岡の家は近く、前川家を通じて頼んだとも考えられるという。

 「修復の過程で銘などが確認されれば経緯がはっきりする。大槌が一流の文化と直結していた証明になる」と佐々木さんは説く。

 熱意に押され動いたのは、地域おこしに取り組む地元のNPO法人「まちづくり・ぐるっとおおつち」。専門会社の京都科学(京都市)に修復を依頼した。

 修復費用は140万円。クラウドファンディングの「キャンプファイア」で5月30日まで寄付を募る。

 安岡作の仏像は関東大震災や空襲などで失われ、現在確認されているのは7体。うち3体が大槌町にあり、三尊像が安岡作となれば6体となる。NPOの倉本栄一理事(67)は「偉大な先人が残した宝だ。貴重な文化財が数多く残る町という魅力を愛郷心や観光振興につなげたい」と話した。

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