<まちかどエッセー・小田中しおり>つながっていれば大丈夫

小田中しおり[おだなか・しおり]さん 作業療法士。1963年仙台市生まれ。旧国立仙台病院付属リハビリテーション学院卒。98年国家資格取得。生活介護施設、障害児等療育支援事業所、特別支援学校で身体・発達障害児者を支援している。仙台市青葉区在住。

 地域生活サポートセンター「ぴぼっと支倉」(とびら)は障害児・者の相談支援事業所です。私は2010年度から障害児等療育支援事業を担当しています。
 この事業は、障害のある子どもやその家族らからのさまざまな相談に応じ、地域生活をより豊かに送れるようにお手伝いすることが目的です。自宅を訪問し、アドバイスや情報提供をします。そして本人が関わっている各機関との連携を図りながら地域での生活を支えています。その他、障害のある子どもらを受け入れている保育所、放課後デイサービス、施設などの職員への療育技術指導も行っています。
 相談支援というと堅苦しいイメージですが、ママ友とのおしゃべりのような和やかな雰囲気です。座れない、歩けない、よく転ぶ、不器用などの身体面や、暴力、自傷、こだわり、パニックなどの情緒面、通常学級か支援学級かという就学時の選択や就労などの進路に関する相談など内容はさまざまです。
 どの相談にも根底には子どもの将来の漠然とした不安があります。自閉症のA君の母親は3人の子どもを育て、母親自身も心の病を患っていました。先々のことを考えると不安で、家事も手につかないと自分を責めていました。私は母親が相談支援事業所を見つけて相談してくれたことを褒め、私たちとつながっていれば大丈夫と励ましました。少しずつ子どもを理解してくれる人を増やしてチームで支援していけば、困ったことが起きても誰かが助けてくれるからです。
 このことを確信したのが東日本大震災でした。重度心身障害の子どもを持つ母親に安否確認の連絡を入れると、断水でとても困っていました。たんの吸引や経管栄養の注入にはたくさんの水が必要ですが、子どもを一人置いて給水所へ行くことができないのです。何とか水を調達して届けました。すると母親が私に野菜やお菓子などを持たせてくれたのです。店には商品がほとんどない時期だったのにどうしたのと聞くと、出掛けられないことを知っている福祉サービスの事業者さんたちが、心配して様子を見に来るときに何かしら持ってきてくれるのだと、うれしそうにお話ししてくれました。
 つながりってすごい。つながっていれば大丈夫です。(作業療法士)

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まちかどエッセー

 仙台・宮城在住の執筆者が、それぞれの活動や暮らしで感じたことをつづります。

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