「復興再考」第11部 被災者支援(2) 住まい/災害法制 隙間埋まらず

2月13日の地震被害を説明する岩佐さん。2階の窓も修理できずにいる=4月22日、宮城県山元町

 住宅再建への支援は県境で明暗が分かれた。

 「同じ被災者なのに矛盾している」。宮城県山元町の無職岩佐洋子さん(69)が4月下旬、こうこぼした。壊れた2階の窓はベニヤ板で応急処置をしたままだ。

 山元町は2月13日の福島県沖地震で震度6弱を観測し、1358戸が被害を受けた。築40年の岩佐さん宅も木造一部2階の屋根瓦が落ち、窓枠や網戸が外れた。廊下はビー玉が転がるほど傾いた。「目まいがしそう」。片付けを手伝いに来た長男に心配された。

 町による被害判定は「準半壊」。町に災害救助法が適用されれば、最大30万円の国の応急修理制度を使えるはずだった。救助法は生命・身体への危害が生じる恐れがある場合などが条件だが、宮城県は「地震翌朝の午前8時で避難所の避難者がゼロになった」ことなどを理由に適用を見送った。

 福島県は避難所に1人でも避難した新地町など17市町に適用した。県のスタンスの違いが、県境を挟む山元町と新地町の支援格差を生んだ。

 山元町は4月下旬、準半壊に見舞金を含め最大10万円を給付するなど独自支援策を決めた。それでも岩佐さんは「壊れた場所が多く、直し始めたら切りがない。屋根以外はこのままにするしかない」と肩を落とす。

 被災住宅に対する国の支援制度は表の通り。応急修理制度と、1995年の阪神大震災を機に成立した被災者生活再建支援法に基づく支援金の2本柱で、適用基準を満たした自治体を対象に被害区分に応じて支援が決まる。

 東日本大震災時は修理制度が半壊以上、支援法は大規模半壊以上が対象だった。一定の被害があった11都県では半壊(約21万戸)と一部損壊(約77万戸)が8割を占め、十分な修理ができない在宅被災者の問題がクローズアップされた。

 国は2019、20年、修理制度と支援法の支給範囲を拡大した。ただ、支援法にある「全壊10世帯以上の市町村」などの適用条件は変わらず、25都府県が独自の支援策を制度化し、適用外の事態に備えているのが実情だ。

 震災から10年を経た今も災害法制の溝は埋め切れていない。2月13日と、最大震度5強を観測した3月20日の地震で宮城県は支援法と同等の独自支援を決めたが、対象は中規模半壊以上に限られ、大半を占める半壊以下は支援の隙間から再びこぼれ落ちた。

 関西学院大災害復興制度研究所は19年8月、災害救助法や被災者生活再建支援法などを一本化した「被災者総合支援法」の創設を提言した。

 法案は事前の備えから生活再建に至る被災者一人一人の復旧、復興の過程に合わせて全6編で構成する。住宅支援は応急修理の対象を一部損壊にも適用し、最大100万円の支給額を設定。再建・購入には最大600万円を支給するなど現行制度より手厚く制度設計した。

 法案づくりの座長を務めた関西大の山崎栄一教授(災害法制)は「一定規模の災害であれば被害が1軒でも支援の対象にした。被災者の実態に合わせ、切れ目のない支援を受けられるようにするべきだ」と訴える。

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